個別最適でなく全社最適でROIを大幅改善
次に、ROIの最適化について話をさせていただきます。
金融機関を例に取って考えると、いろいろなキャンペーンを大量に並行して走らせています。

それぞれのキャンペーンに費用がかかりますので、それぞれでコストを回収する前提でプランニングしているかと思います。ですが、そのようにキャンペーンを個別最適するのではなく、全社最適することでROIを向上させることができます。
例えば、教育ローン・自動車ローン・住宅ローンのキャンペーンがあり、お客様には、1つのキャンペーンしか送れないとします。

上記左図から、個々のキャンペーンの最適化を図るのであれば、教育ローンのキャンペーン対象者にはEメールにて、自動車ローン・住宅ローンのキャンペーン対象者にはダイレクトメールにてご案内すると最も効果があることになります。しかし、個々のキャンペーンにおけるROIの最大化を追求した時と、キャンペーン全体におけるROIの最大化を追求した時の最適な配分は異なることもあります。
上記右図のように、キャンペーン毎の横串ではなく、全体最適で考えてみた時、コールセンターに重点を置いてキャンペーンのご案内をした方がHIT率も高く、全体のROIが高くなるということもあるのです。
このように、ROIを最大化するためには、キャンペーン別ではなく、全てのキャンペーンを包括的に検証し、「どの顧客に」「どのキャンペーンを」「どのチャネルを通じて」実施すればマーケティング全体の効果を高められるか、という観点からキャンペーン毎の最適なリソース配分を決定し、最適なキャンペーン計画を立てる必要があります。
実際の事例をご紹介しましょう。こちらは通信事業者様の例です。横軸にキャンペーンコスト、対象者数、増加利益、ROIを並べています。左側の濃いグラフの方が最適化前、右側の薄いグラフが最適化後となります。
この会社には、700万人ほどのお客様がいらっしゃいます。キャンペーンを年間に1000本やっているので、全社最適化の重要性を認識いただけました。
キャンペーンのコストは変えず、キャンペーン1000本の全社最適を図りました。最適化前は低コストのショートメッセージサービス(SMS)などを使って「量」重視のキャンペーンを実施していましたが、実は同じコストで最適な対象者に絞ってコールセンターやダイレクトメールのチャネルを使ってオファーした方が、はるかに利益が見込めることが判明しました。
結果、コストが高いチャネルを使ったキャンペーンにした方が、全社的には効果が出ることが見込まれましたので、対象者数を減らしてでも全社最適を目指そうということになりました。全社最適をしたことで何が起こったかというと、利益自体は最適化前と比べると約2倍となり、ROIで見ても約200%近く改善できました。

次に金融機関の事例になります。1100万人ほどのお客様がいらっしゃいますが、1人のお客様には年間6度しかコンタクトしないというポリシーを守らなくてはならないという制約がありました。そのような制約下で最適化していった結果がこちらです。

横軸はキャンペーンコスト、増加利益、ROIとなっています。ここでもコストを変えずに収益もROIもよくなったという結果が出ています。
グラフの中央は全社最適した結果になりますが、グラフの右側は全社最適して、さらにコールセンターの座席数を増やしてキャパシティを上げた結果になります。最適化していくと、費用をかけてでもコールセンターを強化した方が、実は全体の収益性はよくなるという結果が出てきます。もっと伸びしろのあるチャネルが見えてくるということですね。
このように多くのキャンペーンを同時に実施している場合、全体最適を試みると意外と無駄なキャンペーンをやっていることが見えてくることもあります。全社最適化をどう進めればよいのか疑問に思われる方も多いかと思いますが、ご興味あれば当社までお問い合わせください。
