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MarkeZine Day Spring 2010レポート

個別最適でなく全社最適でROIを大幅改善


コミュニティ分析で人と人のつながりを浮き彫りに

 ソーシャル・インフルエンスをマーケティングに活用するための手段の1つとして、コミュニティ分析という手法をご紹介させていただきます。

 コミュニティとは、お客様とお客様がつながっているグループです。SNSのコミュニティは単位ごとにはっきりと独立しているので手入れをしやすいと思うのですが、一般企業では自分のお客様のうち誰と誰がつながっているのかは分かりにくいのではないでしょうか。

 事例として通信会社を取り上げさせていただきますが、通信会社は通話やメールといったログ情報を保有しています。ログ情報を使っていくと、人と人とのつながりが当然分かるわけですね。そういったつながりを、誰と誰がつながっているのか、つながりの向き、つながりの強さを分析できるようにしたものが当社のコミュニティ分析の機能になっています。

 コミュニティ分析機能の中には、つながっている中で各人がどのような役割を担っているかを特定する技術があります。コミュニティで中心的な役割を担って周りに強い影響を及ぼす「リーダー」「サブリーダー」、影響を受けやすい「フォロワー」、自分のコミュニティとほかのコミュニティとをつなぐ「ブリッジ」。そういった役割を定義していきます。

講演資料より一部掲載
講演資料より一部掲載

 後はコミュニティの強度というものがあります。どれくらいつながりが強くて親密なのか、定量的に内部評価しています。

 実際に、通信会社のコミュニティを見てみると、パズルのピースみたいに2~3人組の小さなコミュニティが非常に多いということが分かりました。1回通話しただけのつながりも入れるとコミュニティはものすごく大きくなりますが、ある程度親密なレベルでコミュニティを切っていくと、意外と2人とか3人というコミュニティになるものです。

 コミュニティの中の方向性を詳しく見てみると、一方向のつながりもあれば、双方向に緊密なコミュニティもある。2人組が発展して3人組になったり、多人数でつくるコミュニティでも1人が中心に居て周囲に発信していくつながりもある。

 いろいろなパターンがあり得るわけですが、つながりの向きや強さをすべて考慮して、コミュニティの中で、誰がどういう役割を担っているのか分析していきます。

コミュニティのインフルエンサーを巻き込む

 コミュニティ分析を使うことで、何かのサービスを利用した、ある商品を購入した、といったアクションがどのように伝播していくのか、把握できるようになっていきます。

 例えば、携帯電話会社では解約率が非常に問題になっています。解約を防ぐには、コミュニティがキーになります。あるメンバーが解約すると、コミュニティに属するほかのメンバーが芋づる式で解約してしまう確率は2倍になると判明しました。コミュニティの概念を使えば、解約の伝染を見つけ出すことができます。

 それ以外に、コミュニティの中で新しいもの好きのアーリーアダプターが誰か、といったキーパーソンを見つけ出すことで、口コミの伝播をうまくコントロールできるようになるという使い道も考えられます。

 携帯電話会社の端末購入の事例の場合、ある端末Aのシェアが9%だったのに対して、コミュニティのインフルエンサーが端末Aを購入した場合、コミュニティの中にいる人が端末Aを買う確率は56%と6倍以上になっています。

 同様に、携帯電話会社の新しい料金プランが採用された割合が2%だったのに対して、インフルエンサーが新プランを採用したコミュニティでは、新プランの採用率は34%に及ぶというデータが取れました。料金プランで見ると、17倍になったということになります。

 コミュニティのインフルエンサーを見つけ出すことができれば、これだけ高い精度でマーケティングの成果が出せるという好例なのではないでしょうか。

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/04/09 19:11 https://markezine.jp/article/detail/9973

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