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MarkeZine Day 2026 Autumn

マーケターの「直感」を「論理的な戦略」に昇華する「5Sフレームワーク」

選んだCEPでどう思い出され、選ばれやすい状態をつくるか?「Solidify(具体化)」の技術

 企画を立てた時点では輪郭がはっきりしていたはずなのに、調整を経るうちに、特徴のないものになってしまう……。現場ごとの「部分最適」がブランドの印象を曖昧にしてしまう罠から抜け出す鍵は、すべての顧客接点で残るイメージを一つに揃え、行動へのハードルをなくす「具体化」にあります。本連載では、積水ハウス イノコムCROの日ノ澤氏が、直感を納得感ある戦略へと昇華させる「5Sフレームワーク」を解説。第4回は、選んだ勝ち筋を実際の顧客接点へ落とし込み、AIを壁打ち相手にしながら、思い出された後に選ばれやすい状態を整える「Solidify(具体化)」のステップを解説します。

5Sフレームワーク:4つ目のS「Solidify(具体化)」

 企画を立てた時点では、輪郭がはっきりしていたはずなのに、決裁や各部署との調整を経るうちに、少しずつ角が取れていくことがあります。広告、Webサイト、店舗、営業、アプリ、それぞれの現場がよかれと思って調整した結果、顧客から見ると「結局、どんなブランドだったのか」が曖昧になるのです。

 私自身も、テーマパークや通信キャリアなどのマーケティングに関わる中で、こうした難しさを何度も経験してきました。

 Selectで選んだ場面(CEP)で、「このブランドだ」と思い出してもらえるように、すべての接点で残る印象をそろえ、選びやすい環境を整える。そのための全体設計図をつくる。これが4つ目のS「Solidify(具体化)」の役割です。

Take Away:この記事で得られる3つのヒント

  1. 「この場面ならこのブランド」を、実際の接点で育てる考え方
  2. 広告・Webサイト・店舗など、接点ごとに伝え方を変えながらイメージを統一する方法
  3. 想起だけでなく、近さ・予約しやすさ・初回不安の低さまで整える実践ステップ

思い出されたい場面は、接点に落として初めて機能する

 前回のSelect(選択)では、数あるCEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)の中から、“今回の施策”で勝ちにいく場面を絞りました。

 たとえば、フィットネスジムであれば「仕事が忙しいが、運動不足を何とかしたいと思ったとき」といった具体的な場面に深く結びつける、という考え方です。

 顧客が実際にブランドと出会うのは、広告、Webサイト、店舗、営業資料、アプリ、接客といった一つひとつの接点です。ここで印象がずれると、せっかく選んだCEPも市場の中で弱くなってしまいます。

 Solidify(具体化)では、選んだCEPを各接点で一貫して伝え、顧客の中に残るブランド像を揃えていきます。同じ文言を繰り返すのではなく、接点ごとの役割に合わせて表現を変えながら、最後に残る印象をそろえる工程です。

 本連載では、直感とデータをつなぐ考え方として「5Sフレームワーク」を紹介してきました。今回は、その4つ目にあたるSolidify(具体化)を紹介します。Seeで顧客の違和感を観察し、Structureで市場の構造を読み、Selectで勝ちやすい場面を選ぶ。ここまでで、戦略の焦点は定まります。Solidifyは、その焦点を実際の顧客接点へ移していく段階です。

  • See(観察):直感を適切な問いに変換する
  • Structure(構造化):競合の戦略を解き明かし、市場を読む
  • Select(選択):勝てる戦略を絞り込む
  • Solidify(具体化):「この場面ならこのブランド」を実行可能な顧客接点へ落とし込む(★今回)
  • Settle(決断):責任を持って「納得解」を選ぶ

次のページ
接点ごとの「部分最適」で、ブランドの印象がずれていく

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この記事の著者

日ノ澤 恵莉(ヒノサワ エリ)

積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社 CRO(Chief Research Officer) 

Royal Holloway, University of London MBA修了。オリエンタルランドでテーマパークのマーケティング戦略・商品企画を担当後、ソフトバンクや大手損害保険会社...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/06/23 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50871

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