何が消費者をECに導くのか
では今、人々がEC消費を増やしていく大きな要因は何だろうか。今回のこの不況がそれを後押ししたこと言うまでもないであろう。価格の面では、ほぼ確実にECサイトのほうが実店舗で買うよりも安い傾向にあるからである。
しかしアンケートでは、消費者の回答は男女ともに、「安さ」よりも「利便性」が先に立つ。図表3は、ECサイトの利用量が増大した理由を消費者に尋ねた結果である。男女を問わず、約8割の人が、「店舗に行く必要がなく便利だから」という理由をあげている。物をより多く持つという豊かさよりも、より豊かな気持ちを持つという精神的な報酬を消費者は求め始めている。このアンケート結果は、そうした大きな視点での消費者の変化を映し出しているのではないか。
金融恐慌前の2008年8月時点の予測では、2009年以降もEC市場規模の増加率は2割程度とする見方が一般的であった。しかしながら、金融恐慌の影響は大きく2009~2010年の2年間の成長率は、1割程度に押し下げられるであろう。しかし、その後、景気回復を伴って増加率は再び2割近くまで回復すると予測される。

本記事では、急速にEC化が進む中、急激な変化を遂げている消費者像に焦点を当て解説してきた。次回の記事では、全体の市場規模を俯瞰しつつ、EC事業者側の視点からEC市場の今後を占っていきたい。
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