4.2. セグメント化しないならサヨウナラ(Segment or Go Home)
アクセス解析の目的はそこで得られる知見に基づき、マーケティング上のアクションを起こすことにある。
著者は、その点を強調し、
Absolutely nothing is more important in analytics than segmentation.
分析において、セグメンテーションより重要なものはまったくない。
とまで言い切っている。
ところが、現実には解析をアクションにつなげている企業は少ない。その理由の一つは、
「全体」や「平均」を見ていて、セグメント化していないこと。
と分析し、セグメント化のメリットを以下のように説明している。
- セグメントを作成するということは、自社のビジネスにとって何が重要かを理解することなしには行えない作業。セグメント化の作業を通じて何が重要で、サイトはそのために何をしなければいけないのか理解できる。
- セグメント化することで、ある側面を深く分析し、アクションにつながる知見を得ることができる。
- 回りくどい説明なしに、何が起きているかをひと目で多忙な意思決定者に示すことができる。
筆者もコンサルティングの現場で、次のような小話でセグメント化の重要性を説明しクライアントの理解を得ている。(図3参照)
あなたの中学生の子供があなたに「5教科500満点のテストで450点取った。」と報告してきました。あなたは、「平均点90点か。すごいな。小遣いをあげよう。」答えます。・・・これはアクセス解析的には間違った答えです。450点=全体や、90点=平均を見ていて、何のアクションも起きないからです。あなたが答えるべきは「450点か、すごいな。で、科目別にはそれぞれ何点だったんだい。」・・・すると、国語=95点、数学=95点、理科=95点、社会=95点、英語=70点。ということが分かりました。これなら「英語を勉強させる。」というアクションが起こせますね。科目別=セグメンテーションを行ったからです。

アクセス解析を行っているがアクションに繋がらない。そんな悩みを持つ読者は、セグメント化した分析を行うとアクションにつながる知見が引き出せると思う。
4.3. コンテキストが女王(Context is Queen)
Context is Queen(文脈が女王様)とは、もちろん、Contents is King(コンテンツが王様:サイトの成功のために本質的に重要なのはコンテンツの質である。という有名な成句)のもじり。
「なぜ、毎月これほどのレポートが生成され、配信されているのにアクションが起きないのか?」という問いに、「それはデータが文脈の中で提示されていないからだ。」と分析している。筆者も全く同感である。コンサルティングの中で、クライアントには以下のような例で、このデータと文脈の関係を説明している。わたしたちが体温測定(=解析)したところ39度(=データ)だったら、医者に行く(=アクション)のは、「平熱は36.5度である」という文脈が暗黙のうちにあるから。その文脈なしには、39度はただの数字であって、アクションを起こすキッカケにはならない。(図4参照)

