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広告、マーケティング業界で働くあなたの悩みをズバッ! 青葉哲郎のズビズバ!相談室

インターネット広告代理店勤務、28歳男性の相談
「CMOになるためにMBAの取得を考えているのですが、どの大学がよいですか?」


 凄腕マーケティングコンサルタント、青葉哲郎氏があなたの悩みに鋭いアドバイスを贈るズビスバ!相談室。第1回目の今回はインターネット広告代理店に勤務する男性からの相談です。

今回の相談内容
広告代理店で営業の仕事をしています。現在5年目となるのですがご多聞にもれず予算削減の波にさらされ、営業成績は悪くなるいっぽうです。その悪い状況の中でも、業界で生き残っていくために、将来的には事業会社に転職し、その会社でCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を目指したいと考えはじめています。CMOになるためには当然MBAも取得する必要性が出てくると思っているのですが、よりCMOになりやすい大学のMBAはどこか青葉さんはご存じですか? ちなみに、自分で言うのも何ですが小さい頃から成績は常に上位にいたので、会社をいったん退職して環境が作れればMBAを取得する自信はあります。よろしくお願いします。(インターネット広告代理店勤務、28歳営業、男性)

あなたへ贈る一言

今回のズビ!

大学うんぬんの前に、CMOは日本にほとんど存在していません。
知識不足で世間知らずの自分を、まず見つめ直しませんか。

CMOが日本に存在しない理由

 メディアなどでCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)という言葉を見る機会が増えました。時代背景を踏まえて、マーケティング最適化の視点から考えると、こういった立場の方が当然必要になってくるとは思いますが、あなたは流行りの言葉(しかも横文字のカッコイイ肩書き!)という点にとらわれていませんか?

 まず、CMOが多く存在する、米国のビジネス環境と日本の環境について少しお話しましょう。

 米国では、ターゲット起点での製品のポジショニングが重要視されているため、個別の製品ブランドを認知させることが最も重要と考えられています。そのため、組織は「ブランド・マネージャー制」をとっており、その複雑なブランド管理を行う「CMO」の職責が必要になっています。実際のところ、米国ではCEOにこき使われ、短期的な収益増加を求められ、寿命が短いポジションと言われることもあります。

 日本の場合、「製品ブランド」よりも「企業ブランド」管理の役割を担っている場合が多いようにも思います。私の知る限りCMOを置いているのは、消費財メーカーでかつブランドマネージャ制を引いているような限られた大企業です。そのため、CMOは日本にはほとんど存在していません。今後も日本ではCMOは普及しないと私は思っています。ただし、ITシステム・インターネット・マーケティングに強い、横断的な経営問題を解決できる“組織変革者”は必要になるでしょう。(参考:リクルートの場合、近年ITシステム部門とマーケティング部門は統合され、「MIT」という組織になっています)

なぜ、CMOなんですか?

 少し酷な指摘になるかもしれませんが、あなたは、「MBAを取得すればCMOにもなれる、そして事業会社に転職できる」と安易に考えていませんか。事業の成長や経営にとって重要なのはどうことなのか考えたことはありますか? そして、もしあなたが採用担当者で、あなたのような方が採用面接に来たとしたら…あなたはあなたを雇いますか。

 もう一度確認させてください。

 あなたは、なぜCMOになりたいのでしょうか? なぜ、広告代理店から事業会社に転職したいのでしょうか? 成長できないことを不況や会社や人のせいにしていませんか。資格を取ることを口実に問題と向き合うことから逃げていませんか。

 広告会社が成長しないということはありえません。例えば、斜陽産業の繊維分野でユニクロは大きく成長しています。グローバル、モバイル、ソーシャル、CGM(口コミ)、デジタルサイネージ、クラウド、コンサルテーションなどの広告分野は成長の余地が大いにあります。

 確かに、淘汰も進むかもしれません。しかし、誰もが経験していない大変革が訪れているということは、何をすれば成功するのか、その正解は誰にもわからないということです。つまり、ポジティブに考えれば過去の成功体験がそれほど意味を持たない時代になっているため、過去の経験にとらわれない若い人の柔軟な発想の方が実はよい結果を生みだす可能性が高いと言えるのです。

 その状況を踏まえて、あなたは目の前の仕事にしっかりと取り組んでいると胸を張って言えますか?

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この記事の著者

青葉 哲郎(アオバ テツオ)

サイコス株式会社 代表取締役
東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。1994年4月 ジャスコ (現イオン)入社。1995年マイクロソフト入社。トップセールスを経て、最年少ブランドマネージャに就任。MSN事業開発など担当。2001年インテリジェンス入社。マーケティング部を設立し『はたらくを楽しもう。』で同社を転職ブランド1位に。2008年リクルートエージェント入社。『転職に人間力を。』で新ブランドを立ち上げ、コスト減と広告効果の最適化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/11/08 22:43 https://markezine.jp/article/detail/10321

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