Q13. 検索エンジン市場はPC同様、モバイルでも数社のガリバー企業が占めているかと思いますが、貴社のようなベンチャーが市場で勝ち残ってきた要因は何だとお考えですか?
営業観点で言えば、ガリバー企業はPCで一通りのサービスを経験しているため、すべてが上手です。しかし、どこかフォーマット化されており、提案が凝り固まっている印象を受けました。
そこで、我々は「検索だから」といったある種の固定概念を取っ払い、柔軟性とスピードでまずは対抗しようと考えました。その結果、クライアント様のニーズが徐々に浮き彫りになり、それらを丁寧に実現したところ弊社を選んでいただける機会が一気に増えました。
技術の面では、事業開始当初、リンク切れの少なさと抽出情報の正確さに、最も驚かれました。次いで、日本で初めて携帯電話からYouTubeの閲覧・再生を可能にしたことでしょうか。また、アクセスしてきたキャリアや端末情報を瞬時に判別し、その条件にあった結果を上位表示させることも可能にしました。
これらの技術はひとことで表現できるモノではなく、100万個のミニテクノロジーを結集し、「携帯向け検索エンジン」に特化して研究/開発してきた成果です。
Q14. 事業をすべらせないために心掛けていることを教えてください。
常に臨機応変な対応を心掛けることだと思います。同じ事業・商品でもやり方を変えることで道は必ず開けますし、変革を創造し続けることが事業で最も大事だと考えています。
Q15. 今後の目標を教えてください
まずは、3年以内にアジアでトップクラスのインターネット企業になる事です。そのために、私は日本法人におけるサービス全般の成長をコミットメントしています。
また、日本法人の役割はサービスの成長だけではなく、「世界最先端の日本市場」で学んだ経験を「世界最大市場の中国」で活かすことだと認識しています。とはいえ、現実はそうそう甘くありませんので、一歩一歩着実に成長過程を歩んでいきたいと思います。
Q16. これから中国やアジア系の企業で働くことを考えている読者へ、何かアドバイスをお願いします。
これからの10年は、順当にいけばアジアのプレゼンスが世界でより高まると言われています。そのような環境下で仕事をすることは、競合も多く決して楽ではありませんが、自己を鍛え貴重な経験を積む絶好の機会だと前向きに考えてください。日本のサービスレベルが高いのは、インターネットも例外ではありません。皆さんが培ってきたスキルや経験を十分に活かせるステージがあるはずです。
インタビューを終えて
PC、モバイル問わず、検索エンジンというのは、スイッチングコストはほぼゼロであるにも関わらず、特定の検索エンジンを一度使い始めたら日々の習慣となり、何か特別なことでもない限りその検索エンジンを使うことを止めないサービスだろう。しかし、検索エンジン業界は一部のガリバー企業が圧倒的なシェアを占めており、ベンチャーにとっては戦うことが非常に難しい業界なことは明白だ。
そのような状況下でも、YICHA日本法人は、技術革新をコツコツと進めながらも、日本でのマーケットニーズをうまくすくい上げ、ポジションを確立していっているようだ。他業界同様、インターネット業界においても中国企業の日本進出が珍しくなくなる日が、そう遠くない将来訪れるであろうが、YICHA日本法人はインターネット系の中国発リーディングカンパニーとして、今後さらに日本のインターネット市場を活性化していくのではないだろうか。