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ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

情熱を空回りさせない事業ロードマップを描いたモバイルベンチャーの話


 毎回ユニークな事業を行っている企業の経営者にインタビューする「すべらない事業のつくりかた」。第12回は、モバイルに関するコンサルティングとソリューション事業を提供している株式会社エンターモーションの島田 大介代表取締役社長に話を聞いた。着メロサイトからスタートし、モバイルプラットフォームの提供まで変遷してきた同社のすべらない事業ロードマップの描き方とは?

Q. まず初めに貴社の事業内容を教えてください。

 企業が求めるモバイルサイトを構築するためのさまざまなお手伝いをしています。具体的な事業内容としては、大きく分けて「モバイルソリューション事業」と「モバイルコンサルティング事業」の2つを展開しています。

エンターモーションのWebサイト
エンターモーションのWebサイト

 モバイルソリューション事業では、モバイルサイト構築を支援するSaaS型のソリューションを提供しています。1ヶ月半ほど前に「MobileApps」という新製品をリリースしました。機能拡張が可能なクラウド型のモバイルサイト構築CMSで、リリースしてから間もないですが既に40サイトが稼動しています。企業のイントラネットと連動したアルバイト管理システムや、デジコン系広告媒体、クーポンサイトまでさまざまなサイトが立ち上がっています。

 最大の特徴は、MobileAppsエンジンというCMSプラットフォームに対して「MobileAppsプラグイン」と呼ばれる追加機能を固定金額で無制限に追加できる点です。APIに準拠していれば、サードパーティが開発したプラグインを自由に搭載することが可能になっています。希望するモバイルサイトの仕様に対して、不足している差分機能のみをプラグインで開発すればいいため、追加開発の必要性が出てきた段階で、最もコストパフォーマンスの高い開発会社に開発を委託でき、システム開発コストを圧縮できるわけです。ビジネスモデルとしては、米国のセールスフォース社に似ているかも知れません。

 もう1つのモバイルコンサルティング事業では、いわゆるシステム構築だけではなく、クライアントの希望があれば業務オペレーションのリソースの提供やコンサルティングもさせていただく、というものです。デザインの作成やページの更新、メルマガ配信業務、カスタマーケアなども行っています。

 現在運用している実績としては、カルチャー・コンビニエンス・クラブ社のエンタメSNS『TSUTAYAコミュ!』(会員数:130万人)やすかいらーくグループの総合クーポンポータルサイト『オトクーポン』(会員数:410万人)などがあります。『オトクーポン』に関してはビジネスモデルの提案/提供も行っており、大規模な会員数を誇るので、広告配信ビジネスを展開する事によってマネタイズにも成功しています。媒体販売も、当社で行わさせていただいています。

Q. 「MobileApps」はクラウド型ということですが、クラウドを使ったモバイルサイトの構築・運営は今までと比べてどのように違ってくるのでしょうか?

 今までは、お客様ごとに物理的に専用サーバーを設置して、サービスを提供していました。

 ただ、専用サーバーを設置しても、そのリソースを有効に活用しているかというとそうではないプロジェクトも多く、一部しか使ってない事も多いんですね。そうすると、コスト的には余剰分がお客様の負担になってくるので、クラウド環境でのサービス提供に切り替えました。そうすることで、毎月お客様とリソースの活用状況を確認して、月ごとに来月契約する分のサーバーリソースを柔軟に変更していく事が可能になるわけです。「来月はキャンペーンを行うので、サーバーリソースを増やしておこう!」とか「サイトオープンしたが、想定よりもトラフィックが少ないので、来月のサーバーリソースは少し減らしてみよう!」といった具合に柔軟に対応できます。

 また、今までは専用サーバー環境だったので、最低でも年間契約をお願いしていましたが、クラウド環境だと最低1ヶ月間からのご利用も可能になりました。

 ようやく、技術的、サービス的にもそういうインフラが整ってきて、お客様により良いサービスが提供できるようになってきました。AmazonがYahoo!と組んで国内参入する事も発表されており、今後、日本のクラウド環境も一気に加速すると思います。

Q. 現在の会社を立ち上げるまでのキャリアを教えてください

 1998年に慶應義塾大学法学部を卒業して、大学卒業後、総合商社である日商岩井(現 双日)に入社しました。

 1年目は、希望部署とはまったく違う人事部に配属になって、新入社員の採用や研修業務を担当していました。2年目は、希望していた情報産業本部に異動し、Nifty向けのコンテンツ配信ビジネスや、今やにきび治療のテレビ通販で有名な「Proactive」を抱える米国ガシーレンカー社と日商岩井による共同出資会社の、日本へのビジネス展開を担当しました。

 2000年に情報産業本部が日商岩井から分社化し、そのスピンオフしたITXに転籍しました。当時、私はどちらかというと保守的な考え方を持っていたので、「日商岩井で終身雇用だ!」と思っていたのですから、人生どうなるか分かりませんよね…。

 ITXは、ベンチャーキャピタル事業を展開していたので、多くのベンチャー起業の社長さんと出会いました。その中で、ベンチャーキャピタルとして初めて出資させて頂いたのが、当時ビットバレーの中核的な会社だったネットエイジ(現ngi group)でした。それで、ネットエイジに出向し、人生に対する考え方や人生そのものが180度変わりました。

Q. 独立した経緯を教えてください

 ネットエイジでは、ネットマイルというポイントプログラムの会社の立ち上げプロジェクトに参画させてもらっていたのですが、ベンチャー企業にいる人って本当に熱いなって実感したんですね。「こうした情熱が世の中を動かしてるんだ」と強く思いました。

 先ほど言ったとおり、私は元々ベンチャースピリッツがあまりなかったのですが、その頃からベンチャースピリッツが芽生え始めたんだと思います。

 その後、2001年に米国にあるPromotionsという企業の日本法人を買収し、同社の取締役に就任したわけです。当時25歳でしたから、その時の上司は相当リスクを取ったと思いますよ(笑)。そして、7年前の2003年に、「世界で最高の感動できる職場・組織を作りたい」と思い、日商岩井の同期で現在当社の副社長を務める佐竹君含め数人で起業を決意し、四畳半のぼろアパート(笑)からエンターモーションを始めました。 本当にぼろかったですよ…。

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Q. 出向先の取締役になったにも関わらず独立したのは、何か具体的なきっかけがあったのでしょうか?

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。 中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。 2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。 プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/06/29 12:51 https://markezine.jp/article/detail/10748

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