Q. 事業をすべらせないために気をつけていることはありますか?
ビジネスフェーズによって気をつけることは異なると思いますが、初期フェーズは現預金がなくなったら終了です。なので、1番重要なことはキャッシュフローだと思います。まずは、アセットがキャッシュを生み出す投資型ではなく、他社商品の代理販売など、在庫や投資リスクが発生せずに安定したキャッシュフローを生み出すフロー型のビジネスを構築することが大事だと思います。私自身もそれで失敗しかけましたから(笑)。身の丈サイズの経営ですよね。
少ない資本の中でも、いきなり投資型のビジネスを展開し、大成功するような会社もあるので、人によってアドバイスは異なると思います。ただ、どのフェーズでも1番重要なのは、そのビジネスにかける熱すぎるぐらいの情熱です!
後は、そのビジネスにかかわるメンバーがそのビジネスを楽しんでいるかどうかです。そこで頑張っているメンバーが楽しいかどうか。辛い事も多いのですが、本質的に、そのビジネスをやっていて楽しいかどうかは本当に重要です。
よく社員に「モチベーションは上げるものじゃない。にじみ出るものだ」と言うのですが、本当に楽しい時って、そういうものだと思うんです。人生もビジネスも、その感覚って本当に大切だと思っています。
事業をうまくいかせる秘訣として人材採用は重要ですが、その人自身の夢を実現するための何かが、エンターモーションで行っている事業を通して提供できるのであれば、採用することにしてます。そうすると、事業を通じて、夢にドンドン近づいているわけなので、モチベーションがにじみ出るんですね。これは本当に大切な事だと思います。
こういう採用基準なので、起業家志向のメンバーも多いですね。エンターモーション創業以来、10人弱の起業家を輩出しています。会社にとって優秀なメンバーの流出は痛いですが、そういう人は必ず何かを残してくれているし、ただ単純に、みんなの夢がかなったら楽しいじゃないですか!
Q. 今後の目標を教えてください
会社の目標と私個人の目標の2つあるのですが、会社の目標としては、もっともっとモバイルサイトを広くいろいろな会社に使ってもらう事です。
モバイルサイトを活用すれば、企業のマーケティング活動は最大限にパフォーマンスが上がると思います。同じマーケティングコストでより多くの売上があがったり、今の売上を維持するのに必要なマーケティングコストを削減できたりする。モバイルサイトを活用することで、企業はさらに利益を出せると考えています。その利益を、人材雇用や新規ビジネスに投下することで、経済はさらに活性化するのではないでしょうか。スマートフォンの出現で、この勢いは加速すると考えています。エンターモーションとしても、国内だけでなく海外へもビジネス展開し、グローバルなエコシステムで必要とされる企業にしていきたいと思っています。
個人としての目標は、起業家の育成です。私自身がまだまだなので本当に差し出がましいのですが、今まで自分が失敗した事や経営を、若手の皆さんに伝えて行きたいなと考えています。
日本って、熱い情熱や夢があっても道半ばで夢を諦めたり、事業化しても失敗する会社も多いんですね。外国に比べて、文化的にも環境的にもベンチャー企業が育ちにくいなと感じています。熱い情熱や夢を持った若手が、ちょっとした経験不足で失敗するのって、本当にもったいないじゃないですか。その熱い情熱や夢を、少しでも実現に結ぶ付けられるサポートができれば楽しいなと考えています。
インタビューを終えて
島田社長から感じることは、事業運営のポートフォリオバランスの取り方が非常に秀逸ということだ。多くの企業の場合、コンサルティングとソリューションを事業の両輪で運営することを目指していても、実際はどちらか一方に偏ってしまいがちだ。また、コンサルティング事業で培ったノウハウを、自社サービスであるソリューション事業へのレバレッジ展開する手腕は、実に見事である。受託開発が中心となっているベンチャー企業にとって、非常に参考になる事業ロードマップの描き方ではないだろうか。