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MarkeZine Day 2025 Retail

ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

情熱を空回りさせない事業ロードマップを描いたモバイルベンチャーの話


Q. 出向先の取締役になったにも関わらず独立したのは、何か具体的なきっかけがあったのでしょうか?

 出向先の会社は、ベンチャー企業ではあったのですがやはり大資本企業の子会社ということで、親会社の経営判断や志向性が大きく影響してきたんですよね。その当時、主にPCを対象にしたネットマーケティング支援を行っていたのですが、「今後は、絶対にモバイルが来る!」と思ったんですね。365日肌身離さず持っているわけですから、「マーケティングプラットフォームとしてモバイルが来る!」と。

 そんな中で、出向先の会社は引き続きPCを主軸とした事業戦略だったので、思い切って会社を飛び出して仲間と独立したわけです。

 ただ、まだまだ若造だった私をグループ会社の取締役にしていただいたことは、私の人生に大きく影響していますし、今でも本当にいいチャンスをもらったと、その当時の会社と上司には感謝していますよ。

 その時の私の上司は、現在、当社の社外役員として招聘させていただき、今でもビジネスをご一緒させていただいています。身を置くビジネス環境は変わっても、一生物のお付き合いをさせていただきたいと思ってるんですよね。

Q. 現在の事業を軌道に乗せるにあたり、苦労した点を教えてください

 特に創業してから3年目までは、苦労の連続でした。特に苦労したのがキャッシュフローです。1,000万円で設立しましたが、3ヵ月後に残高が5万円程度となり、倒産しかけました…。今まで大資本の中で経営をしていたので、あまりキャッシュフローを考えていなかったんですね。

 創業時は着メロサイトの運営をしていたのですが、着メロサイトは、会員獲得コストを含めたマーケティングコストが先に出ていく、先行投資型なんです。それで、みるみるうちにキャッシュが無くなっていきました。そこで、先行投資ではなく、キャッシュフローアウトが比較的売上と連動する、他社の商品の代理販売を展開しました。

 ただ、レバレッジの利くビジネスモデルをやりたかったので、自前の商品が欲しいと考えていました。そこで、知り合いのシステム開発会社に行って、「うちはお金がないんで、設計書は作りますが、タダでシステム開発してください! その代わり、絶対の自信があるんで、売りまくります。できあがった製品を共同所有して利益折半でいかがでしょうか?」と話したんです。1年間猛烈に売りまくり、潤沢なキャッシュを溜めた後、利益率を高めるために100%自社所有の製品を開発しました。時間はかかりましたが、徐々に身の丈サイズの経営を実行していく事は大切です! 社員を迎えると、皆の生活を預かっているわけですから、責任は重大です。

 また、大事なのは、どんな苦境にあってもどんなに辛くても、経営メンバーが先陣を切ってやりぬく事です。絶対にどんな事があっても。そういう姿をメンバーである社員も見てくれているんですよね。苦境を潜り抜けた数だけ、組織は強くなりますよ。

 苦境って、その時は本当に「もう辞めたい…」って思うぐらい辛くても、それを乗り越えるとかけがえのない何かが必ず残っていますよ。だからこそ、絶対に諦めないという強い想いが重要です。

Q. このときの自前の商品とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか?

 当時、ポイントサイトが非常に収益性が高いビジネスとして注目され始めていたので、簡単にポイントサイトを構築運用できるパッケージを開発しました。ポイントサイトという用途に特化したソリューションですね。結構売れましたよ。年間で100サイト位に提供しました。

 特化型ソリューションの良いところは、ターゲット顧客が常に分かりやすく、管理画面もその業界ならではの洗練したものにすることができるという点です。ただし、そのマーケットが崩れたり、新たな技術やマーケティング手法が出てきた時には、一気にピンチになります。

 ご多分に漏れず、ポイントサイトのマーケットも1年ほどで飽和状態となり、将来的な成長が見込めなくなってしまいました。そこから紆余曲折があり、提供するソリューションは現在のMobileAppsになりました。

 冒頭に説明したとおり、MobileAppsの最大の特徴は、プラグインアプリという追加機能を誰でも開発できるという点です。例えば、不動産業界に強いパートナーがいれば、不動産業界に適した管理画面をプラグインで開発すればいいわけです。餅は餅屋だと思っています。不動産業界の求める要件に特化した会社には、絶対にうちの会社は勝てないわけです。だから、そういう会社とアライアンスを組めるような製品設計にしたわけです。

 最近は、このような会社とのアライアンスをバシバシ行ってます。外食産業に強い会社や、美術館向けのマーケティングに特化してやっている会社とか。本当に勉強になりますよ。

 MobileAppsをプラットフォームとして、その上に、多くの業界のノウハウを詰め込んだプラグインアプリが、多くの会社とのアライアンスで構築されていく。そうすると、当社の志向するプラットフォーム戦略と特化型のソリューションのメリットを、同時に享受できるわけです。

 夏頃にはiPhoneやアンドロイド端末等のスマートフォン対応も予定しており、将来的には欧米マーケットを含めた世界展開もしたいと思っています。せっかくやるのであれば、世界規模でビジネスをやりたいですよね。

MobileAppsの概念図
MobileAppsの概念図

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Q. 事業をすべらせないために気をつけていることはありますか?

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/06/29 12:51 https://markezine.jp/article/detail/10748

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