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短期集中コラム iPadマーケティング最前線

薬学博士マーケターが挑んだ、BtoB企業初のiPadマーケティング
私がiPadをマーケティングに活用したワケとその成果


情熱の系譜 for iPad

 私も早速iPadを購入し、完成したばかりのアプリをダウンロードしました。画像や映像の美しさには、本当に感動しました。iPadならではの機能を活かし、テレビ番組では伝えきれなかった出演者情報や、新しい企業広告を盛り込んでいます。今後も、iPadでしか見られない、出演者や著名人による「情熱の系譜」解説などテレビ番組とは違った形でiPad用コンテンツを拡充していきます。

情熱の系譜 for iPad
情熱の系譜 for iPad
情熱の系譜 for iPadのプロセス

 2010.06 アプリ公開

 2010.07 コンテンツ追加

 2010.08 コンテンツ追加

 2010.09 コンテンツ追加

 2010.10 コンテンツ追加

iPadマーケティングの成果

 さて、最後に2010年4月~6月までの3か月間の成果について公開していきます。

 各チャネルの施策については日次で細かくリーチ数値を計測し、毎日PDCAをまわしながら傾向分析と戦術修正を行っています。その結果、3か月目にあたる6月以降から各メディアの相乗波及効果が現れてきました。また、代理店が実施した6月末の簡易認知度調査では、社名認知度も向上の傾向が見られたこともあり、トリプルメディア戦略の成果が出てきていると考えられます。

社名認知率は2009年12月調査データ(協和発酵キリン調べ)と、2010年6月調査データ(ビルコム調べ)の比較。
現時点ではサンプル規模と集計期間が異なるため、参考数値としての検証。
社名認知率は2009年12月調査データ(協和発酵キリン調べ)と、2010年6月調査データ(ビルコム調べ)の比較。現時点ではサンプル規模と集計期間が異なるため、参考数値としての検証。

 オウンドメディア、ソーシャルメディア、サードパーティメディアごとの効果検証は次の通りです。

オウンドメディア

 成果:iPadアプリ公開~約1か月で1万ダウンロードを達成

  • iPad仕様にこだわって制作したことで、コンテンツを楽しむだけでなく仕様を体感する機会をiPadユーザーに与えるアプリへ。
  • 企業名アプリではなくTVコンテンツとして展開し、提供企業として広告展開をすることで広告要素の抵抗感払拭を図った。

 課題:iPadアプリの情報が更新されなければ、ゲーム性の高いアプリでない限り埋もれてしまうため、定期的な情報更新が必須。7月にはiPad限定コンテンツを追加し、並行してPR活動を行っているが、効果は検証中。

ソーシャルメディア

 成果:YouTube公式チャンネルとなりロングテールのコンテンツとして機能/Twitterを活用したユーザーコミュニケーションを展開

  • 出演者放映数が増加し、アーカイブ化することにより、過去放映分が今でも再生され続けている。
  • TVの視聴率に左右されず、YouTubeユーザーにコンテンツが支持されている手ごたえを実感。
  • コンテンツと連動したユーザー参加型のbotなどを展開、Twitterユーザーとのコミュニケーションに取り組んでいる。
  • 現状は出演者のファンによるフォローが大部分を占めている。

 課題:Twitter上のコミュニケーション活性化

サートパーティメディア

 成果:TVで露出を図ったことで、いまなお多くのリーチを獲得するメディアとして機能

iPadマーケティングの可能性

 これまで、協和発酵キリンのトリプルメディア戦略について、企画立案~施策の選択~効果検証という一連の流れに沿ってご紹介をしてきました。その中で、今回キーとなったiPadのマーケティング活用における可能性について、当事者の感想を最後にお話したいと思います。

 まず、私が直感的に感じたことは「iPadは、多くの可能性を秘めたデバイスなのは間違いない」ということです。

 iPadのマーケティング活用はまだまだ発展途上のため、これからさまざまな活用方法が登場してくるでしょう。PCとは全く異なる操作性と画面の動き、そして画像・映像の美しさに限らず、指で画面を繰っていく間に、そのコンテンツへの共感が深まるという印象を私は持ちました。

 この新しいデバイスは、新しいコミュニケーションを次々と生み出す可能性を秘めていると思います。当社の場合は、今回、テレビ番組のコンテンツとしてアプリを制作しましたが、企業メッセージの比重を高めたものでも、共感の得られるアプリを創ることもできるのではないかと思います。

 しかし、それには、これまでにはないコンテンツを考えなければなりません。コンテンツの内容、画像・映像、そして動作の仕組み作りと多くのクリエイティブが力を結集することで、魅力あふれる新しいコミュニケーションが生まれるのではないかと想像しています。そして、当社もそのような新しいコミュニケーションを描けるよう、引き続きチャレンジを続けていきたいと考えています。

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この記事の著者

長谷川 一英 (薬学博士)(ハセガワ カズヒデ)

1990年、東京大学大学院生命薬学専攻博士課程修了。同年、協和発酵工業に入社。東京研究所に配属、動脈硬化治療薬の探索研究に携わる。2000年、米国スタンフォード大学に留学し、臓器移植の研究に従事。帰国後は、医薬総合研究所で薬の作用メカニズムの分子レベルでの解析を行う。
14年間の研究開発の後、経営企画室主査を経て、2...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/15 13:47 https://markezine.jp/article/detail/11421

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