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MarkeZine Day 2010レポート

「Twitterのつぶやきは、時給換算で1日14億円の人材労働投資」ヒトとWebとソーシャルメディア

 「MarkeZine Day 2010」Aトラックでトップバッターとして登場したのは、株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 情報通信・コンサルティング部 上級コンサルタントの小林慎和氏。小林氏は「ソーシャルメディアはマーケティングの在り方を根本から変えるのか」と題し、講演した。(バックナンバーはこちら)

技術が進化しようと、マーケティングはヒトが行う

 「マーケティングは人間が行うもの。ITを人間の側面から伝えていきます」という小林氏の一言から本講演は始まった。ソーシャルメディアのソーシャルとは社会的な、という意味であり、一般の人も関わる。人間に何をさせ、そのソーシャルメディアの魅力をどうエンパワーしていくのか。本講演ではTwitterに焦点を当てなぜつぶやくのか、を検証することで、マーケティングとソーシャルメディアの関係性を読み解いていった。

株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 
情報・通信コンサルティング部 上級コンサルタント 小林慎和氏
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 情報・通信コンサルティング部 上級コンサルタント 小林慎和氏

Webという共有資産に貢献するユーザーの実態

 本題に入る前に、日常におけるWebとの接し方を見ることから小林氏は始めた。

 Googleで某キーワードを入れ検索画面が出ると、人は目で瞬時に判断して膨大な検索結果から選択する。これは、実は検索という機械が提供した行為に対して人間がエンパワーしていることを表している。

 また、小林氏は次のように語る。

 「ブログでいろんな物事の世論が見えるうえ、何気なく過去にもさかのぼれる。すべての情報が蓄積されていくところが、Webの凄さであり、クラウドのひとつの真髄だ」

 たとえば、バリ会議や京都議定書のような環境会議は好評か不評か、という正解のない問題でも、ブログ上のソーシャルメディアではグラフで表現するなど一目でわかる。また、漁船問題などの外交課題や15年前の京都議定書の現状における評価を見ることも可能だ。

 他の事例では、ウィキペディアでは多くの人が競い合いながら、情報の鮮度を保ち続ける。自分の痕跡をWeb上に残すことができることが大きい、と小林氏は分析する。そのほか、動画は本来検索できないが、Webユーザーがタギング(メタ情報、補足情報)を付けて検索可能な状態へと変更するなど、コンテンツの付加価値を向上させてくれることで、不可能な検索が実現する事例もある。

 また、質問をする消費者に懇切丁寧な回答をする赤の他人、お勧めの曲やお店に★マークなどを付け有償無償の情報の序列を付ける事例まである。ブロードバンドユーザーは世界に10億人、日本に7000万人いるが、前述の各種事例から、Webという共有資産にこれらのユーザーは少しずつ貢献していることになる。

約2,200万人を誇るボランタリーWebユーザーという存在

 このように日々無償の活動に従事する人々を「ボランタリーWebユーザー」と位置づけ、前述の各種事例を1.クリエータ(Creator)、2.エディタ(Editor)、3.バリュア(Valuer)の3つに分類している。この分類は、Twitterにも当てはまるという。

 具体的には、1.はさまざまなコンテンツを無償で創造し、Webにアップロードする特性、2.はWeb上の無秩序な情報を無償で関連付ける特性、3.はWeb上のさまざまな情報の価値を無償で判定する特性、としている。

講演資料より掲載(以下、同)
講演資料より掲載(以下、同)

 たとえば、YouTubeなど新たに生み出されたものはクリエータ。タグやリンクを貼るなど膨大なコンテンツの交通整理を行う行為はエディタ、自分にとって最適な情報を評価して順序づけてくれるのがバリュアとなる。

 では、実際にボランタリーWebユーザー数およびその役割分布はどうなっているのか。野村総合研究所の分析データによると、ボランタリーWebユーザー数は約2,200万人、このうちクリエータは約780万人、エディタは約830万人、バリュアは470万人。ただし、この3つのすべてに属するユーザーも存在することを勘案すると、CEV(クリエータ、エディタ、バリュアの3要素すべてを持つ人)は約230万人存在する。

 この230万人のうち、毎日Webと接する真のヘビーユーザーは約60万人いるという。この60万人が毎日無償の活動を展開していることで、日本のWebコンテンツは改善・改良されていくのだ。ちなみに、2,200万人というボランタリーWebユーザー数は、1年間にボーリングを行う人口数約2,000万人よりも多い数字に相当するという。

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この記事の著者

高澤 里美(タカサワ サトミ)

外資系IT調査会社での調査・分析、半導体産業新聞記者などIT関連分野で幅広く十数年の経験を積んだ後、フリーライターとして始動。IT分野を中心に、各種執筆活動を継続中。最近では、各種記事・原稿執筆に加え、IT関連企業各社のプレスリリース、ニュースレター、広報誌なども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/11/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/12187

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