時代とともに変化する「メールマーケティング」
メールマーケティングはインターネット黎明期の2000年頃から始まったマーケティング手法だが、時代とともにその手法や重要課題も変化を遂げてきた。「統合的なメールマーケティング」時代に入った現在、ウェブ全体のプロセスを通して具体的な成果が問われる一方、制作・配信オペレーションの効率化が求められ、ROIがさらに重視されるようになっている。これらのビジネスに直結する課題を解決するためには、メールマーケティングの「効果検証と最適化」が極めて重要である、と椎葉氏は語る。
戦略的なメールマガジン改善事例
椎葉氏は、メールマガジン改善の成功事例として、数百万通のユーザーを抱える富士通FM-Vのメールマガジン『AzbyClub通信』を挙げた。AzbyClub通信はHTMLメールであり、「デザインがごちゃごちゃしていて分かりにくい」「富士通っぽくない」という課題を抱えていた。
AzbyClub通信では、FM-Vユーザーのコミュニティ機能に加え、ECサイトへ誘導するコマース機能も重要な役割を果たしている。そのため、誘導後の売上に影響が出ないような形で、富士通・AzbyClub・FM-Vの3つのブランドのバランスを取っていく必要があった。そこで、プロジェクト要件を「デザインとブランディング」と「コマース」それぞれに設定し、読みやすいメールマガジンへとコンテンツの再配置を行っていった。
会員数が多く、売上に多大な影響を与えるメールマガジンでは、始めから自社リストへ配信するというのは、あまりにもリスクが大き過ぎる。そのため、自社リストへの配信を行う前に、まずアルトビジョン社のオプトインメール「Vmail」を活用して、定量的(開封・クリック)と定性的(イメージ・見やすさ・長さ)を改善前後でチェックするABテストを行った。さらに、アンケートを実施して、メールクリエイティブ改善前後の効果検証を行った結果、改善後に圧倒的な成果を生み出すことができたのである。