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日・米・韓の視点で語るネットサービス事情解体新書

UCC(User Created Contents)とCGM、名前は違えど悩みはひとつ


広告の収益をユーザーと分配するモデル

 まずは、各国の注目すべきユーザー参加型のCGM動画サイトを紹介し、ビジネスモデルが進むべき方向性についての考えを改めて整理してみたいと思う。

カテゴリー 日本動画CGM 韓国動画UCC アメリカ動画CGM
ユーザー参加型のCGM動画サイト例 AmebaVision PANDORA.TV YouTube
ワッチミー!TV TagStory Revver

 最近Googleに買収されたYoutubeは、この頃は金銭的な心配はあまりないようなので論外として、Revverのビジネスモデルを紹介したいと思う。RevverはYoutubeに続いて人気のユーザー参加型のCGM動画サイトである。このサイトが有名になった理由の一つは、世界で初めて動画を製作及びアップロードした人、Revverで広告収益を分配するモデルを導入したからである。広告収入を分ける比率を簡単に見てみると、下記のようになる。

 製作者:40% Revver:40% 配布者:20%

 動画の最後に広告を挿入する方法をとっているが、動画を掲載したサイトでクリックが発生した場合には、クリック数に比例して金額が算定され、上記の比率によって製作者と配布者、そしてRevverが分け合うのである。

 昨年大流行した、ダイエットコーラにメントスを入れる実験動画の製作者は、3万5000ドルを稼いだと言われる。Revverは、問題視され得る著作権問題を解決するために、内部監視人員を約40名程度配置していることが知られているが、サイトが大きくなるにつれて人力による監視に限界が出ているように見える。

 2番目は、韓国の代表的なユーザー参加型のCGM動画サイトであるPANDORA TVの場合を見てみたいと思う。PANDORA TVは動画の始めと終わりに広告をつけ、動画がクリックされると製作者もしくはアップローダーに、1,000クリックあたり約10円を支払い、貯めた金額が一定の金額以上になるとこれを実際に現金で支払う方式をとっている。これに加え、PANDORA TVは、バナー収益ならびに映画、漫画、成人向けコンテンツを有料で提供するビジネスモデルも追加で所有している。しかし、未だに著作権問題等に関しては脆弱であるという評価を得ている。

新たなアプローチをとる企業

 ここまで紹介した2つの企業と似ていながらも異なったアプローチをとっている会社が、最後に紹介したいと思うTagStoryである。ソフトバンクコリア(Softbank Korea、取締役社長 ムン・ギュハク)から20億ウォン(約2億4000万円)の投資を受けるようになったことも、まさにこのような差別性が明確であるためではないかと筆者は思っている。まず、収益ウェア方式を見ると、Revverと同一の方式をとっている。

 製作者:40% Tagstory.com:40% 配布者:20%

 しかしながら、コンテンツのソーシングで大きな差をつけている。まさにアマチュアである一般ユーザーのUCCを受け入れず、PCC(Proteur Created Contents または Professional Created Contents)のみを受け入れているところにある。ソフトバンクコリアとの投資記念式で開かれた記者懇談会でも、ソフトバンクコリアのムン・ギュハク代表が強調したとおり、TagStoryは国内の大手マスメディアの大部分と契約を結んでいる一方で、記者やセミプロ級の映像製作ができるユーザーにのみ、映像と文章が結合した作品を作ることができる編集ツールを提供している。また、このように作られた動画に広告がつくと、収益シェアを行うようになる。

 著作権問題から自由になれない他のユーザー参加型の動画サイトとは違って、クオリティーで勝負するというポイントと共に、広告主にとっても、やはり著作権問題がないところで広告を掲載したいという希望を満たせる部分が差別化を成功させており、また、その期待感がソフトバンクまでも動かしたのではないのだろうか。

 勿論、TagStoryが急速に成長しているものの、まだ韓国内でPANDORA TVfreechalのQTV、DaumのTV pod、Damoimのaura、mncastなどと比べると、トラフィック面では多少落ちることは確かだ。しかし、ビジネスモデル、著作権問題の解決、そして動画のクオリティー、この3本の軸に基づいたTagStoryの戦略と、記者会見場でのソフトバンクコリアのムン・ギュハク代表の発言から予想される、早急な日本への進出等を考慮すると、多くの著作権侵害問題とビジネスモデルの貧困に悩んでいる国内のユーザー参加型のCGM動画サイトも、注視すべき存在なのではないだろうか。

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この記事の著者

朴 世鎔(パク セヨン)

ニューヨーク州立大学校でMBAを取得後、韓国の最大手広告代理店である第一企画に入社。インターネットポータル企業(Lycos.co.kr、Nate.com )コンテンツ企画チーム長を経て来日。2003年から2005年までオンラインストレージサービスやオンラインゲーム関連企業で企画部部長として勤務。2006年1月に株式会社Ascent Networksを設立し、現在に至る。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/06/22 11:56 https://markezine.jp/article/detail/1332

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