Googleが注力する3つのテーマ
現在、Googleでは「インテリジェンス」「パーソナライズ」「インタラクティブ」という3つのテーマに注力しているという。
- インテリジェンス
ユーザーが入力したキーワードとWebページの内容を正しく理解すること。適切なページを返すのに必要不可欠な要素だ。 - パーソナライズ
最近では検索結果画面の左側、検索ナビゲーションパネルにユーザーの所在地が表示されるようになったが、その情報に基づいて検索結果が変わるようになったのもパーソナライズ関連の機能の1つ。「ラーメン」と検索した時には、所在地情報に基づいてGoogleプレイスの情報が結果画面に表示されるようになるなど、ユーザーごとに出し分けるようにしている。 - インタラクティブ
モバイル向けの「Google音声検索」、カメラで撮影した画像から検索できる「Google Goggles(ゴーグル)」、あるいは検索欄に1文字入力されるたびに検索結果のリストが更新されていく「Google Instant」など、検索ユーザーとGoogleとのかかわり方をより便利にしていこうという考えだ。
各国のエンジニアやプロダクトマネージャーが、それぞれの国の文化や習慣にあうようにローカライズすることもあるが、基本的に開発体制はグローバルだ。日本のエンジニアが世界中で使える機能を開発することもあれば、米国、日本、欧州とバトンをつないで開発することもある。中には、検索精度向上を目的としたものもあれば、「レシピ検索」のような日本発の機能や、運行情報検索などの日本向けのカスタマイズにも注力している。
「アメリカでリリースされた機能を各国にローカライズしたり、その国独自の機能をリリースする際は、検索数と文化的な面を考慮します。例えば、『レシピ』というのも日本は比較的検索されることが多いんですね。また、Googleがまだまだ改善できる余地のある分野だと考えました。レシピに特化するとなると、見たい情報はWeb検索のタイトルと説明文だけじゃなく、カロリーや調理時間、画像も見たいだろうと。検索の意図によって見たい情報も違うし、絞り方も違うだろう。そう考えて日本発で開発したのが『レシピ検索』です。[運行情報 路線名]で検索すると、遅延しているかどうか、すぐに分かる機能なども提供しています。普段の検索数は決して多くはないですが、電車通勤の多い日本では、トラブルがあった時には重宝してもらえる。日本のユーザーにとって便利かどうかを優先します」(鈴木氏)


良いコンテンツとはユーザーが判断するもの

Googleと言えば、Web担当者・マーケッターにとってSEOの話とは切っても切り離せない。2月下旬にも検索アルゴリズムを大きく改定し、大人数のライターを雇用して質の低い記事を大量生産する「コンテンツファーム」と呼ばれるサイトへの対策を施すなど、その動向は常に大きな注目を集めている。
古くから「リンク元のPageRankが重要」など、さまざまな言説が飛び交っているが、鈴木氏は「SEOについては何も言えない」と釘を刺しつつも、テクニカルな要素を追い過ぎない方が良いと助言している。
「PageRankは有名ですし、いまだに重要な要素ではあるんですが、昔と比べて非常に多くの情報に基づいて検索結果は決められています。我々はそうした情報を『シグナル』と呼んでいますが、PageRankはあくまでそのシグナルの1つにすぎません。ユーザーの期待値やWebコンテンツの変化に応じてシグナルも新しいものを追加していますし、これまでのシグナルも最新のニーズに合わせてチューニングしています。
1点理解していただきたいのは、ユーザーにとって利便性が高くて良いコンテンツであれば、検索結果画面でも上位に出る確率は高くなるということ。だからテクニカルなところを追うのではなく、本質的なところでより良いコンテンツを作っていく方が良い、というのを理解してほしいですね」
「良いコンテンツ」とはGoogleが判断するというよりは、ユーザーが判断するもの。「ユーザーが『ここに書かれていることは、すごく信用できるし、ためになる』と思えば、それは良いコンテンツだと僕は思いますね」と鈴木氏は語る。