戦略方程式づくりにおける「イタコの術」
戦略づくりの基本スタンスは、常に顧客、すなわちターゲットの視点で考えるということです。決して、企業本位の一人よがりになってはいけません。そこでその人に乗り移って、その人の気持ちを察し、行動を考えます。それが、「イタコの術」です。一見、当たり前のことのように思われますが、この術こそ、先ほどの戦略づくりにおける2つのハードルを乗り越える極意であります。
まず、目的に照らし合わせながらターゲットを設定する際に、そのターゲットの生活や気持ちを思い浮かべて、自分がその立場になりきることが大切です。
- どんな特徴の人なのか?
- どんなライフスタイルの人なのか?
- どんな趣味嗜好や価値観の人なのか?
- あなたの業界、あなたの会社にどんな想いを抱いている人なのか?
上記のような質問を、自らに問いかけることで、イタコの術の精度は上がります。そして、この準備が万全であれば、意図する行動を鮮明に描くことができるのです。さらに、ターゲット心理の理解によって、行動との引き換えのGIVEについても、深い洞察ができます。これによって、2つ目のハードルをも越えることができる一石二鳥の術です。ですから下記のように自問自答していきましょう。
- ペット・オーナーとは、どういう人なのだろう?
- ペットとどういう生活をしている人なのだろう?
- ペットの洋服というものに、どういう価値観を感じている人なのだろう?
- 自分のショップにどういう想いを抱いている人なのだろう?
すると、ペットはわが子だから、特別な待遇をしてあげることで、自己満足に近い陶酔をしているという洞察にいたるのです。ペット・オーナー以外から見ると、ペットを相手に一見馬鹿げた買い物をしているように映るかもしれませんが、ペット・オーナーの立場、まさにイタコの術で考えると、そんな気持ちも理解できるようになるのです。そんな努力が、戦略づくりには大切なのです。
これらの一連の戦略づくり作業における重要なコツは、左脳と右脳の両輪による作業と意識することです。発想が得意な右脳の生み出した考えを、整理が得意な左脳が導く論理的な処理によって、戦略方程式へと組み立てていきます。感性的なひらめきを大切にしながら、理性的な判断で取捨選択をしていく作業、それが戦略づくりです。難しいと思っていた戦略づくりを、少しでも単純化してとらえるようにするための手法、それが「戦略方程式」です。ぜひ活用してみてください。


