アクセス解析を社内で普及させるために
筆者は、大企業におけるアクセス解析全社展開を推進する前は、IAやCMSをいち早く取り入れて社内で実践し、啓蒙する活動を行ってきた。どんな分野でも、組織の業務プロセスを変革するのは大変だが、共通点も多い。これらの体験をふまえ、社内でアクセス解析を普及させるためのポイントについて紹介したい。
1. ダメ元の発想で前に進もう
「最適化」「PDCA」などの言葉やイメージに囚われないようにしたい。現実はそんなにクールなものではなく、むしろ暗中模索や試行錯誤に近い。先が見えなくても、ダメ元でやってみよう。たとえうまくいかなかったとしても、それは実践したからこそ分かったことだと言える。“正論”や“べき論”を鵜呑みにしたり、行動を思いとどまる人は、失敗すらできない。
2. 時には大胆に進めよう
だからこそ、過度なコンセンサスは諸馬の刃。新しい分野を切り開く場合は、情報を集め、実践し、考えている「あなた」自身が一番詳しいはずだ。そうではないマジョリティが賛同するようなことに大きな価値はない。新しい考え方を組織の中で広めるために、真っ向勝負と裏技を組み合わせよう。議論と妥協を重ねてゆっくり進めるのも必要だが、時には大胆に進めても、結果を出せば許される。
3. みんなにメリットを
経営者から現場まで、マーケターからエンジニアまで、サイトの運営に関わるいろいろな立場の人たちの顔を浮かべながら、それぞれの立場で成果を出せるようなデータや考察を提供しよう。データを受け取るターゲットを個人レベルまで具体化することで、地に足の着いた本当に役立つ知見を伝えることができるようになる。Webサイト構築のために、ターゲットユーザーのペルソナやシナリオを具体化するのと同じ考え方だ。解析データを活用すべきユーザーはすぐ近くで一緒に仕事をしている同僚なのだから、一般化しないで、彼らに役立つことをしよう。
こうして、メリットを一人一人が体感できるようにしていく。啓蒙や推進は押し付けるのではなく、必然性を作り出すのが重要だ。導入や活用に必然性があれば、自然に普及していく。
最後に
以上、6回にわたって実体験に基づく「アクセス解析実践日誌」をお届けしてきた。新しい分野では、正解も王道もない。先行者の体験談として、実践や推進の参考になれば幸いだ。