ブランディング・認知に関する貢献度
このように、デジタル領域のあらゆるチャネルを活用して、ターゲットとパーソナルなコミュニケーションを構築した結果、抗体医薬の認知、および同社のブランド認知には次のような形で効果が表れました。
- 調査方法: Web調査
- 調査対象者: 20代~60代の男女2,114人
- 調査実施日: 2011年6月10日~6月12日
- 調査会社: 株式会社日経リサーチ
抗体医薬の認知率
- 40~50代男性の場合: 40.5%が抗体医薬を知っている
- 上記以外の場合: 32.6%が抗体医薬を知っている
また、調査対象を「THUNDERBIRDS Lab.」を認知しているかどうかで分類したところ、次のような結果になりました。
- 「THUNDERBIRDS Lab.」認知者の場合: 82.0%が抗体医薬を知っている
- 「THUNDERBIRDS Lab.」非認知者の場合: 31.3%が抗体医薬を知っている
「抗体医薬 = 協和発酵キリン」想起率
- 40~50代男性の場合: 業界1位の11.5%
- 「THUNDERBIRDS Lab.」認知者の場合: 業界1位の30.5%
このように、40~50代の男性や「THUNDERBIRDS Lab.」プロジェクトの認知者に対して、今回のプロジェクトが抗体医薬の認知、そして同社の業態認知に貢献したことが分かります。
- “サンダーバードの世界観”を味わう中で、抗体医薬を学んでもらうこと
- コンテンツを自分ゴト化させるために、ソーシャルメディアを駆使して、コンテンツをより身近に感じてもらうこと
という2つのコンセプトが寄与した結果と言えるでしょう。
デジタルマーケティング実行時の3つのポイント
さて、これまで2ヶ月間、デジタル領域のマーケティング事例を紹介してきました。最後に、「デジタルマーケティングを実行する際のポイント」をお伝えしたいと思います。
1)消費者が興味を持つコンテンツを通して、消費者との接触を増やし、企業が伝えたいことを届けていくこと
企業の一方的なメッセージではなく、消費者の興味関心に寄り添ったコンテンツを展開することで、消費者のコンテンツへの関与度は高まります。同時に、ソーシャルメディアのプラグイン機能により(RTボタンやShareボタンなど)、消費者同士が情報拡散できる仕組みづくりも考慮に入れたい点です。
2)一人ひとりの消費者の興味関心にあわせて、コンテンツをパーソナライズ化すること
例えば、ソーシャルメディアでのログインによって、自分の友人・知人とコンテンツを楽しむことができる仕組みづくりを設けた協和発酵キリンの事例は、パーソナライズ化の好例であるといえます。個々人のニーズに合わせたコンテンツにカスタマイズすることで、消費者の自分ゴト化を促します。
3)デジタル上の数値分析により、PDCAを正しく回していくこと
デジタル領域の強みはデータの蓄積性にあります。いつ、誰が、どのチャネルに、どれくらい滞在しているのか、というデータを解析することによって、PDCAを正しく回し、より最適なコミュニケーションプランを構築していくことが求められます。例えば、協和発酵キリンの事例では、TwitterやFacebookの分析ツールを用いて、どの時間帯や、どんな内容での投稿でユーザーの反応がいいのかを追って、随時ユーザーとのコミュニケーションをブラッシュアップしています。
皆様のご参考になりましたでしょうか。この連載が、少しでも皆様のお役に立ったならば、幸いです。最後になりましたが、これまでご覧頂きまして、ありがとうございました。
