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MarkeZine編集部が行く!ネットショップオーナー探訪

1,000店舗の頂点に立ったカリスマネットショップの経営ノウハウとは

シックな色合いと画像のクオリティの高さ、お洒落で高級感溢れるサイト構成で、1000人のネットショップ店長が選ぶ全国イーコマース協議会主催「2006年ベストECショップ大賞」に輝いた和座本舗の西田上氏。そんな西田氏にネットショップの経営ノウハウをMarkeZine編集部が聞いてきました。

西田上氏のプロフィール
和食器・九谷焼専門通信販売の和座本舗店主。九谷物産株式会社 取締役副社長。ネットショップは2000年3月からスタートし、伝統的な食器はもちろん、自らの感性でプロデュースした若手陶芸家のオリジナルも紹介し、顧客を拡大。ネットショップの成功事例代表として、講演活動に追われる中、2006年には、1000人の店長が選ぶ「ベストECショップ大賞」を受賞

ネットショップ経営で重要なのは利益率

 こんにちは、和食器・九谷焼専門通信販売の和座本舗店主の西田上です。7年前、私がネットショップを始めた最初の月の売上はたった10万円でした。現在は順調に売り上げを伸ばす事ができています。小さな努力の積み重ねの結果、売上は7年前の開店以来、右肩上がりです。開店の1年後にはまだ月20万程度の売上でしたが、商品数を増やし、メールマーケティングにも力を入れて、3年後には月100万円を達成しました。現在はスタッフが全員で3人と少数なので、売上高から売上原価(原材料費や工賃など)を差し引いた「売上総利益」は会社が必要とする利益率を確保し、健全な経営体質を構築できていると思います。

 では、ネットショップの適正利益率とはどれくらいなのでしょうか? レストランなどの外食産業だと利益率10%超えれば優良だといわれています。それでは利益率が20~30%あれば十分といえるでしょうか? 企業と少人数経営が中心のネットショップでは考え方が異なります。仮に利益率が20~30%100万円売上があったとしましょう。この時、手元に残った20~30万円のうち、5万円超の手数料・課金をモールへ支払い、仕入れに関する費用を捻出すると、結局手元に残るのは1人分の人件費くらいです。それでも経営は成り立つ(個人レベルの事業であれば)と思いますが、会社本来の目的である、利益を出し、社会貢献するという目的は果たせません、ビジネスを行う以上、売上・利益を出せないビジネスでは仕事のモチベーションの低下につながります。

 大切なのは仕事に対しての「やりがい」を失わないこと、その為にも適正利益を考える必要があるのです。適正利益とは、どのくらいの利益があれば社員も会社も、そして自分も幸せになれるかということを考え売上目標と照らし合わせながら考えなくてはいけないと思います。

在庫を処分することからスタート

 私が代表を務める和座本舗(九谷物産株式会社)は、もともとは家族経営でカタログ通販によって九谷焼を販売していました。九谷焼は、石川県南部の能美市、金沢市、小松市、加賀市で生産される日本を代表する陶器・陶磁器です。その最大の特徴は華麗なる色彩美で、多くのファンが全国にいます。しかし長らく続いた1990年代の不況によって、カタログ通販を行っていた私の会社は、メインユーザーであった大手企業に対する売上が年々減っている状態でした。企業は業績を回復させるため、リストラなどを行いましたが、それと同時に贈答費用も減らすようになっていたのです。ですからそれにともなって、ネットショップを始める前には、売上はバブル期と比べ6割も減ってしまっていました。

 私が2000年3月に会社の経営に参加した時は、いつ倒産してもおかしくない状況でした。そのような状況で私は当時世間から注目され始めていたネットショップに注目し、Web上で九谷焼を販売することを決意しました。ネットショップを立ち上げて、まず着手したのが会社の10~15年倉庫に眠っていた膨大な数の在庫を販売し、現金化することでした。幸い陶器は食べ物のように腐ったりしません。箱に入れておけば20~30年経過しても新品同様です。けれどもやはり誕生したばかりで誰にも知られていないネットショップではそう簡単には売ることができません。

 そこで思い切って価格を下げることにしました。たくさん儲からなくても、とにかく在庫を現金化し、経営を正常な状態に戻す必要がありました。実際、石川県能美市にある私の地元では、「年に一回のご奉仕」として破格の値段で商品を売るイベントがあり、普段はあまり売れなくてもこの時ばかりはかなり売れました。ですからこれをネット上で毎日開催したら売れるのではないかと思ったのです。

 和座本舗ホームページ 落ち着いた雰囲気のサイト作りを心がけている

 最初に出店した楽天市場では、このセール企画がお客様に喜ばれました。首都圏のデパートでも以前より九谷焼が売れなくなったので、九谷焼のファンやお客様にとってはネットしか購入できる場所がなかったのです。そのような時に激安で販売したことで、需要と供給が完全に一致したのです。

 良いペースで販売を続けた結果、ちょうど一年で倉庫(200坪)にあった当時の金額で4~5,000万円分の在庫を処分できました。もともと倉庫にあった在庫ですから、新たに会社を立て直すために入ってきた私にとっては、元手がかかっていないという意識でしたし、確かに安売りしてしまいましたが、この時に買っていただいたお客様が「九谷焼が買えるお店がある」と口コミしていただいたり、第一世代のリピーターになっていただきました。その後はリピーターを増やすために、メルマガ発行による、メールマーケティングで伸びていきました。

 現在にいたってもリピーターになっていただくために有効な手段はメルマガです。よく「メールマーケティングの時代は終わった」などといわれますが、実際にはメルマガの効力は非常に大きいです。「メルマガはスパムだ」というネガティブな意見もある一方で、メルマガが届くのを楽しみにしている人もいるのです。

ネットショップで成功するには

 さてもしあなたがネットショップを始めようとしているのならば、その前にひとつ確認しておかなければならないことがあります。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/1428

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