本書の構成~定番情報と最新トレンドが満載
第一部は「Webマーケティングの基礎技術」として、Webマーケティングを実践していくにあたって、前提情報として知っておかなくてはいけない数値データや、計測方法、問題点の洗い出し方などについて触れています。意味がよく分かっていないデータや、計測の仕方が分からないデータなど、なんとなく理解している気になって適当に流していませんか? 最初にボタンを掛け違えば、その後のWeb戦略はどんどんズレたものになってしまいますので、基本的な事柄も決して疎かにせず丁寧に吟味・精査しておきましょう。自社の強み・弱みをきちんと理解して初めて、最適なWeb戦略を選択することができるのです。
第二部は「ユーザーの行動に沿ったWebマーケティング」と題し、SEO・SEMといった検索エンジン対策や広告や販促手段などのWebにおける「集客」について触れています。SEO ・SEM はWebに携わる人であればすでに実践されているかもしれませんが、その認知度の高さゆえに、SEO・SEMという言葉が先走りして理解されていることもまた事実です。「SEO・SEMをやるとはどういうことか?」という質問に対して「検索結果上位に表示させること」と答えた人は要注意です。SEO・SEMの本質はそういうことではありません。検索結果上位に表示させることはSEO・SEMの手段であっても目的ではないのです。本質をしっかりと理解しましょう。
またWebには、バナー広告やリスティング広告、メール、RSSと多種多様な集客手段がありますが、それらに優先順位があることをご存知でしょうか? もちろん予算が潤沢にあって、なおかつ成果も問わないというのであれば、さまざまな集客手段を湯水のように予算をかけて行なえばいいのでしょうが、多くの場合、限られた予算の中で成果を最大化させなくてはいけません。となると自ずと、優先順位が決まってきますので、「やりたいこと」と「やれること」の見極めが成功のカギを握ります。どういった集客手段があって、どういったシチュエーションで効果を発揮するのか、どういったシーンで使うべきなのか、いま一度確認しましょう。
さまざまな企業がWeb上でチャレンジを繰り返し、多数の失敗事例の上に少数ではありますが成功事例が徐々に積まれています。その成功事例だけに乗っかっていくという戦略もある意味効果的なのですが、他社 の後追いだけでは絶対に勝てません。Webでは先行者利益が特に顕著で、「先行者利益を獲得して、そのまま唯一無二の存在に成長した」パターンが多く、二番手、三番手から華麗に逆転したという事例はあまり聞きません。
先行逃げきりが、Webにおける勝利の鉄則と言っても過言ではないのですが、新しい技術やサービスをとりあえず導入すればいい訳でもなく、ユーザーの支持を獲得できないサービスはやがて消えていくのみです。大事なのは時流に乗りながらも、それがビジネスとして成熟させていくことで、あたかも走っている車の中で、車を止めることなく、チューニングをしていく行為と言えるでしょう。止まってしまえば誰かに抜かれるし、チューニングしなければより高性能な車にいずれ抜かれてしまうでしょう。車を走らせながら、内部を改良していく、これを同時にやらなければ先行者利益を得ることは出来ません。
第三部「Webマーケティングの新領域」では、今までのWebの潮流を踏まえ、今後中心的な話題になっていくであろうと予測される技術やサービスに触れていますが、集客手段と同様に、どこかの成功事例を後追いしているだけでは成果に繋がりません。Webは新しい業界ですので、技術やサービスが陳腐化していくスピードが早く、またデジタルゆえに真似されるのも容易いという側面があります。素早く先行し、サービスを充実させることでユーザーを囲い込み、他社の追撃を振りきりましょう。
以上、第一部から三部までの概要からでもお分かりいただけるように、本著「Webマーケティング成功の法則 75」では、Webマーケティングについて押さえておくべき事柄を、定石ともいうべき定番情報から最新トレンドまで網羅的に紹介した欲張りな一冊になっています。この本を通じて、Webマーケティングに対しての理解が深まり、あなたのWeb戦略の血と肉となって活かされるのであれば、これほど嬉しいことはありません。 Webマーケティングに挑む覚悟はありますか?