組織はどこまで変われるか[1] 担当者の勤務環境を整えよう
マーケターに変化が求められるように、マーケティングを実施する組織も変わらなければなりません。たとえば、ソーシャルメディアマーケティングの担当者の待遇についてです。アクティブサポートなど消費者の対応をすること自体は仕事なので特別待遇などしなくてもいいのですが、仕事だからこそ勤務時間についてはきちんとしてあげましょう。
ソーシャルメディアでは、夜中でも質問されることはめずらしくありません。そうした場合に「無視していい」とはっきりいってあげるべきです(あるいは時間外手当をきちんと支払うべきです)。休日や有給消化をしている日についても、きちんと休むようにいってあげましょう。とくに有給なのにツイッターの反応が気になって休めないというのは良いことではありません。もっとも、そうした事態にならないようにコールセンターでの運用を薦めているわけですが。
また、場合によっては本人のミスであろうとなかろうと担当者が矢面に立たされることになります。これまでのコールセンターでの一対一での対応とちがい、ソーシャルメディアでは集中砲火になることも考えられますので、会社として彼らを守ってあげなければなりません。もちろん軽率な言動であれば謝罪すべきですが、いいがかりに対して屈するべきではありません。
こうしたストレスマネジメントを含めた担当者の勤務環境を整えてあげることが、ソーシャルメディアを活用しようとする企業には求められています。
組織はどこまで変われるか[2] 縛るのでなく、守るポリシー設定を
同様の話は、ソーシャルメディアポリシーあるいはガイドラインにもいえます。そもそもソーシャルメディアポリシーはなんのためのものか、はっきり答えることができますか? ソーシャルメディアポリシーは従業員を縛るものではなく、守るものでなければなりません。さらにいえば、彼らの背中を押し、ソーシャルメディア上で自社について自由に語れるようにするものでなければならないのです。残念ながら、ほとんどの企業では拘束するだけになっていますけどね。
もちろん、リスクを正しく伝えることは大事です。とくに不用意な発言をすることで個人が特定され、さらし者になる恐れがあるのもソーシャルメディアの現実です。ですから、従業員の将来を守るためにも、くれぐれも発言には注意するように教育・啓蒙することは必要でしょう。そしてそのための事例は残念なことですがすでにたくさんあるわけですから、同じ轍を踏まないように活用させていただくべきです。
ぼくは、就業規則さえ徹底されていればそうそう大きなトラブルにはならないと思っています。機密保持や会社に不利益になるような発言は、就業規則で禁止されているでしょうからね。
もちろんリスクはゼロにはなりません。ですが、その部分は従業員を信じるしかないのです。逆説的ですが、そこで従業員を信じられないなら顧客を信じることもできないでしょうし、ソーシャルメディアには一切関わらないようにすべきです(それがいいかはここでは触れません)。
トラブルメーカーや危険人物が社内にいるのか、大きな会社になればなるほどその可能性は高いですし、慎重になるのも無理はありません。むやみに性善説に立つのも危険です。その場合は段階的に許可していくなり、講習を受けたものだけに許可するなどの運用でカバーすることになるのもやむをえないわけですが、禁止するための運用と、許可するための運用ではまるで意味がちがいます。
ゴールをどこに置くのか、それをあらためて考えてみてください。顧客に愛されることを目指す企業が自社の従業員を信じないというのもおかしな話です。全従業員が自分の判断でアクティブサポートを実施できるように、少しずつでも組織を変えていきませんか?
