ソーシャルメディアで競合との垣根をも越えた
Q. ソーシャルメディア運用で使用しているツールは?
緒方: Twitterクライアントは各担当で好きなものを使っていますが、やはりHootSuiteが多いです。ある程度、効果測定できるアクセス解析の機能も入っていますし、ow.lyの短縮URL変換が良いんですよね。あと、最近はCrowyも気に入っています。
國分: 各担当者から、有料サービスを使いたいという相談を受けることはあるのですが、今のところソーシャルメディアにはあまり費用をかけたくないので、私から無料のツールを紹介するようにしています。
Q. ソーシャルメディア運用を始めてみて、変わったことはありますか?
緒方: まず、単純にサイトの訪問者が増えました。最近では、TwitterよりFacebookからの流入の方が多いですね。突然、ハンズネットで商品の在庫がなくなったなと思ったら、Twitterによるものだったこともありました。
さらに、競合他社と横のつながりができました。以前、東急ハンズとヴィレッジヴァンガードさんとで、Twitter上のイベントを行ったことがあるんです。そこで結構盛り上がったので、普段タイムライン上でやり取りのあった13社のアカウントに声をかけて、一ヶ月後にさらに大きなTwitterイベント開催にこぎつけました。お客様だけでなく、競合とも一緒に何かをやれるという、ある種の垣根を越えられたことは、素晴らしい経験だったと思いますし、今後も積極的にチャレンジしていきたいと思います。

このように競合へお客様を案内することは、店頭では当たり前のようにしてきたことでした。例えば、私がいた渋谷店はLOFTさんが近くにあるので、在庫がない場合お客様をご案内したり、逆にLOFTさんから問い合わせの電話があったりということもよくありました。Twitterでは、そのやり取りをフォロワーさんも見てくれることで、両方のブランド価値が上がるところが画期的ですね。
でも、やはり最も大きな変化は、フォロワーさんに話しかけていただいたり、こちらから話しかけたりといったやりとりができるようになった、という点に尽きると思っています。例えば、「東急ハンズに来たよ!」というお声をいただける。これは店頭でもネットでも、ソーシャルメディア以前ではありえなかったコミュニケーションです。ですから、こういったコミュニケーションができること自体に、とても喜びを感じています。
Q. 効果測定はどのように行っていますか?
緒方: 自分のノウハウ蓄積のためにKloutやTopsyを使って、バズやリンクのクリック数などの測定は、それなりに行っています。担当者として、魂を込めたツイートがどれくらい広がっているのか、やはり気になるので。ただ、そのために業務時間を割く位なら、見ない方が良いと思っています。
國分: 現状、数値を取ってどこかに報告するという流れはありません。それぞれの担当者が、自分なりの目標感を持って取り組んでいる状態です。今後は、ある程度そのフローも考えていかなければならないと思ってはいますが、一番大事なのは「どんなツイートやポストが喜んでもらえるか」ということ。何か1つの数字を追いかけて、数字のために何かをするという発想に陥るのは避けたいですね。
緒方: コミュニケーションが活発になったからといって、効果があるとは限りません。そこのバランスは常に意識しています。ファンの反応が見えるからといって、RTや「いいね!」の数が全てではありません。その後ろにある「東急ハンズを愛してくれているか」が大切なんです。
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『エンパワード ソーシャルメディアを最大活用する組織体制』(翔泳社)
「消費者が情報発信するエネルギーは止められない」ということが海外事例とともに紹介されています。何も知識を持たずに読んだ人も、ソーシャルメディア活用を始めるきっかけになると思います。
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『ソーシャルシフト ― これからの企業にとって一番大切なこと』(日本経済新聞出版社)
豊富な国内・国外事例を基に、明日のソーシャルメディアのあり方を考える本です。特に企業のソーシャル活用実務担当者の皆様にお勧めしたいです。東急ハンズも取り上げていただきました。 -
『明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法』(アスキー・メディアワークス)
元電通のさとなお(佐藤尚之)さんが書いた本なので、マスの視点とソーシャルの視点が両方あるところが良いと思います。本質的な部分に言及した、ある意味哲学書の側面が強い本です。 -
TechWave
常に肝を押さえた記事が更新されているので、TechWaveを押さえておけば、最新の尖った情報が入ってきます。「意気込み」がビシビシと伝わってくる所も非常に魅力的だと感じています。