コンテンツは顧客を選ぶ
この例は訪問するデモを設置するべきだ! ということを物語っているのではない。設置するコンテンツによって、どんな顧客が来るのかが変わってしまうということを意味している。このケースならばもしデモを来場者のみに限っていれば、商談確率の低い依頼ばかりが来ていたかもしれない。
裏を返せば、どんな顧客を狙いたいのかということを考え、実施すべき集客方法やコンテンツを選ばなければならないということだ。そのためにも、まずはどんな顧客に来て欲しいのかを見極めなけばならない。
改めて顧客の検討段階にはどんなものがあるか、おさらいしておこう。
法人の中では、多くの場合が複数人による意思決定を行う。初めは個人的なアプローチだとしても、社内に理解されるプロセスを経て、多かれ少なかれ稟議を経由し、一定の合意のもと発注が行なわれている。
「社内議論・戦略策定」は、旗振り役の人が社内で議論を起こし、来期の戦略策定の項目に上がるというフェーズだ。
この時点では予算も社内合意もしっかりとは決まっていない。「案件定義・基本計画」は、議論に上がったテーマについて、具体的に案件を定義していき、実行できるレベルの計画まで落としていくフェーズである。
この「社内議論・戦略策定」と「案件定義・基本計画」の2つのフェーズを経て、社内での予算が獲得される法人の意思決定の上流工程となる。
営業は意思決定の上流工程に入ることができれば、決められた予算を他社と取り合うコンペ型営業から、顧客企業の戦略決定や予算決定に参画することができるコンサルティング営業を行うことができる。
そのため、Webマーケティングに大きな成果を期待したいのであれば、上流工程を無視して作戦を立てることはできない。
顧客が上流工程段階での商談の特徴は、課題が明確になっていないケースが多く、検討している商品も具体的に決定していないことだ。そのため、検索されるキーワードもあいまいで、問合せ窓口としてもセミナー申し込みや診断といった「課題の明確化」に焦点を当てたものが好まれやすい。
企業の予算取りに関われるメリットがある分、商談期間が長く、不確定要素も多いという営業上のデメリットもある。
さらに、法人内で意思決定が進んでくると実行担当が決まり、業者や商品の情報を集めはじめる「業者情報収集・コンタクト」のフェーズに入る。
情報収集の際は、検索エンジンは情報収集担当者の強力な味方になり、具体的なキーワードで業者を探し、積極的にコンタクトをとり、資料収集や提案を受けることとなる。
続いて、「提案評価・業者選定」のフェーズで、集めた資料や提案を社内で回覧し決定していき、最後に「社内調整・業者決定」を行い発注に向けた準備が整う。これら3つのフェーズでは決められた予算を適切に配分したり、遂行したりする意思決定の下流工程だ。
下流工程での商談の特徴は、課題がある程度明確化されており、検討している商品が具体的になりつつあることだ。納期や性能の要求もある程度はっきりとしている。
営業サイドから見れば一見、下流工程を狙ったほうが効率的な商談思えるが、業者選定段階に入っているため、他社のサイトもよく閲覧し、恐らく同じような問合せを他社にも投げている。
商談期間が短いメリットがある反面、コンペになるケースが多く、競合商品との価格競争が起こりやすくなというデメリットもある。ここで、現状の引き合いの状態を探るためのシートをご紹介しよう。
今までの状態がどうであったか、をしっかりと振り返る必要があるだろう。その上で、現状の自社の製品特性や営業戦略に合わせ、Webマーケティングにおいて上流工程/下流工程をいかに棲み分けて狙うのか、両方を狙うのかを見極めなければならない。
後々具体化していく、コンテンツや問合せ窓口の指針になってくれるはずだ。