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あの先進企業に密着!第2回「リクルート」

リクルートが情報誌「じゃらん」を出し続ける理由
媒体単体でなく、アトリビューション的考えで事業を推進


データに基づいて方向性を決め、周囲の協力を仰ぐのがマーケターの仕事

 『じゃらん』単体としてだけでなく、広い視点から業界を牽引していく。その方向性を決めるのが、青木氏の仕事だ。いわばマーケターであり、その決定が事業の成否を決めるといっても過言ではない。しかし意外なことに、青木氏はマーケティングの職についてわずか3年ほどだという。

 「システムコンサルタントや営業職、人事職など、人と接する仕事を経験してきましたが、マーケティング職は『じゃらん』に配属されてからです。その都度、必要なマーケティング知識は勉強してきたと思いますが、専門的なことは配属されてから上司のもとで学びました。研修にも行かせてもらいましたが、約半年間、上司の判断を脇で観察させてもらったことが大きいと思います。なぜその決定なのか、何を根拠とするのか、思考回路を叩き込んでもらいました」

 具体的な仕事の内容としては、広告の商品設計や流通チャネルの設計、媒体広告の計画や予算管理、制作費用の管理など多岐に渡る。いずれも編集長や営業担当、広告担当、リクルート全体のマーケティング局など、様々な人たちと関わりながら、調整する必要がある。

 「売上に大きく影響する決定を、タイムリーに下していかなくてはなりません。その判断の根拠となるのはデータです。『じゃらんnet』でリアルタイムな情報を把握し、『じゃらん』で22年間蓄積した知見を活かす。どちらも揃っていることが、自信を持って判断を下せる理由の1つだと思います。プレッシャーがないとはいいませんが、データが指し示すのは“事実”。どのマーケターも、同様に判断するものだと思うので躊躇はないですね。

 それ以上にタフだと感じるのは、様々な人たちにその決定を伝え、協力を仰ぐことでしょうか。幸い営業や人事の仕事をしていたので、折衝については経験があり、それが役に立っていると思います」

 ロジカルに説明した方がいい人の場合は冷静に綿密な資料で説明し、熱意で動くタイプの人には思いをぶつけるというように、人に合わせてコミュニケーションを変え、伝えたいことを伝え、理解してもらう。そんな青木氏自身も、どちらかというと熱意で動くタイプだという。

 「震災後、東北版が関東版に統合されたのですが、もともと東北地区は地元内で動く割合が40%と高く、統合によって東北の観光業界に影響が出てしまったのは否定できません。その切実さは、観光業関係者の方に『東北版を復活させてほしい』という手紙をいただいたほどでした」

 しかし、事業として成り立たせなければ、継続は難しい。そこで、データから様々な可能性を模索し、1年間使用できるムックとして東北版を発行することになったという。

 「おそらくデータだけでは、企画として上がってこなかったかもしれません。人の思いが人を動かし、打開策を見いだす。それがマーケターの仕事なのかなと思っています」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/01/26 13:19 https://markezine.jp/article/detail/14950

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