収益化を図る部署と制作を管理する部署の両輪で展開

コンテンツビジネス局
コンテンツビジネスセンター
プランニング・プロデューサー
渕 勇二氏
テレ朝動画を運営する、コンテンツビジネス局という部署について掘り下げよう。同部署は、地上波を含めたテレビ朝日が保有するあらゆるコンテンツを活用し、収益化することをミッションに掲げる。オンラインゲームやアメーバピグ上の「テレビ朝日ランド」の運営も担当。関連会社も合わせると、100人ものスタッフがかかわっている。
コンテンツビジネス局は、番組制作を管理するコンテンツビジネス戦略部と、コンテンツ事業の収益化を管理コンテンツビジネスセンターの2つに分けられる。前者が番組ごとの担当制を敷いているのに対し、後者は配信、DVD、番組から派生するグッズ、それから出版と、市場や商材ごとの担当制を敷いている。
「番組自体の質を追求しつつ、それぞれ最適な形で収益化できるように、番組の担当者と各商材の担当者の掛け合わせで進められる組織体制を組んでいます。それぞれの専門性を持ち寄って柔軟に考えていけるので、効率的ですね」(渕氏)。
世界のエンターテインメント市場も視野に、ユーザー増を目指す
さらにテレビ朝日は、海外へのコンテンツ展開も視野に入れており、こちらもコンテンツビジネス局の担当だ。たとえば、地上波の「ロンドンハーツ」は韓国でも放映されており、一定の人気を集めていることから、ネットコンテンツやグッズ展開などのさらなる進出にも勝機があると同社は見ている。
国際ビジネスを担当する宮本氏は、海外展開について次のように話す。
「海外向けの番組企画コンペなどを見ていると、海外では日本の番組を少しシンプルにしたような企画が受け入れられる傾向があります。自由度が高いネットコンテンツを追求し、視聴者の反響などを把握すれば、海外へのコンテンツ輸出にも十分役立つと考えています」
現在、コンテンツ数としては地上波の放送終了分を配信する有料動画の方が多く、今の段階ではまだ“レンタルビデオ店”のようなイメージがあるのでは、と渕氏。特定のターゲットのニーズに応える有料動画も柱にしつつ、毎日何らかの情報を更新し、“メディア”のイメージを醸成したいという。
「当然、収益化も大きなミッションです。事業の推移としては好調ですが、テレビ朝日全体で見ればもちろん売上に占める割合は高くありません。コンテンツ事業の売上を伸ばし、番組の制作者がより自由に楽しい企画を生み出せる場にしていきたいですね」(渕氏)。
メディアとしての力をつけるためにも、コンテンツを充実させてユーザーの接触率を高めていきたいと抱負を語った。