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「AdGang」が選んだ今週の一押しキャンペーン

Pinterestとの相性が必ずしも良くない企業による、今のところ最も成功したキャンペーン


 海外の広告・宣伝・プロモーション事例情報を提供している「ブログタイムズBLOG」からの厳選記事を紹介するこの連載。先週に続いて今回も、大人気の「Pinterest」を使ったプロモーションをご紹介します。毎週水曜日更新。

キャンペーン概要
  • 時期:2012年3月
  • 国名:イスラエル
  • ブランド名:Kotex
  • 業種:日用品メーカー

Pinterestから垣間見える「彼女たちが望むもの

 大人気ソーシャルメディア「Pinterest」と相性が良いのは、一般的にファッション、インテリア、雑貨、旅行関連といった「写真で自社の商品をアピールできる業種」と言われていますが、今回ご紹介するのは、それとはちょっと異なる企業のキャンペーン。

 主役は、世界80か国以上で女性の生理用品を専門に扱うブランド「Kotex」。クリネックス等の衛生用品を取り扱うグローバルカンパニー、キンバリー・クラークが有する1ブランドです。

プロモーションの背景・ねらい

 「Kotex」は女性のためのブランドであり、ターゲットである女性に対して「あなた達と常に一緒にいるんです」「あなた方を理解していてそばにいます」というメッセージを発信していくことをプロモーションのベースに据えています。

  彼らがターゲットとする女性の関心は当然一律ではなく、「好きなもの」「胸をワクワクさせるもの」は千差万別です。それを踏まえたうえで、Kotexは現在のソーシャルメディア全盛の時代に、『女性たちが自らの関心ごとを自由に気楽に表現する場所はどこか?』と想像をめぐらし、最適なツールとしてPinterestに白羽の矢を立てました。

 おそらく、一般的な意識調査やグループインタビュー以上に、女性たちの「心の奥・本音」が、ある側面においては垣間見えるツールとしてPinterestを捉えたのではないかと思います。

女性ユーザーのボードをじっくり観察、そこから生まれたサプライズとは?

 プロモーションのテーマは、“Women's Inspiration Day”。Kotexはまず、Pinterestで影響力のある女性ユーザー50名のボードを時間をかけてじっくり観察します。

 彼女たちがピンしているものを見て、それぞれ「何に興味をもっているか?」「どんなセンスの物が好きなのか?」「どのようなデザインのものに心が掻き立てられるのか?」といったことについて綿密に調べます。

 そして、彼女たちのボードが示唆する、「好きなもの・好きなデザイン」を考慮して彼女たち一人一人に手作りのプレゼントを作成します。ひとつひとつ丁寧に手間暇かけて、それぞれの好みに即したプレゼントを作り上げていきます。

 できあがったプレゼント類とメッセージカードをギフトボックスに詰め込みます。

 ここで、Kotexは自社のPinterestアカウントから各インフルエンサーが投稿している写真に、「Kotexはあなたのこういった自己表現の仕方が大好きです!URLの先にある写真(プレゼントボックスの写真)をリピンしてくれたら、私たちならではの手法であなたへの想いを表現してみせましょう!」というコメントを残します。 

 そして、この写真をリピンしたインフルエンサーの自宅に、各人用のギフトボックスをそれぞれ届けました。 

 この50個のプレゼントの結果、ほぼ100%のインフルエンサーが自身のPinterestボードにプレゼントの写真を投稿しました。それだけではなく、Facebook、Twitter、Instagram(詳しくない方はコチラ)といったソーシャルツールで写真やコメントをどんどんアップしていき、投稿・コメントとなどのコミュニケーションの総数は2284件、それらのインプレッションは69万4853PVに至りました。

ソーシャルメディアマーケティングで大切なこと

 今回の事例を見て、19世紀に生きたフランスの食通“サヴァラン”が残した、『その人が食べているものを見れば、その人がどんな人か言いあてましょう』という言葉をふと思い出しました。直観性に優れたPinterestの場合、顕在意識だけでなく、その人自身も意識していない潜在意識までボードに反映される可能性もあり、その結果Pinterestのボードを見れば、その人の興味関心だけでなく、どんな人なのかというレベルまでもある側面ではわかるのかもしれない、と感じます。

 50人のインフルエンサーのボードをひとつひとつじっくり観察し、その上で各ユーザーが「好きな物」「心動かされる物」を手作りで用意して、実世界でプレゼントするという企画。地道でとても労力がかかるアプローチですが秀逸な取り組みだと感じます。マーケティング活動にPinterest(ソーシャルメディア)を活用しようとする企業は、「このような生活者の視点・目線」に寄り添って取り組むことが重要なんだと改めて気付かせてくれるケースです。

 TwitterやFacebookといったソーシャルメディアをマーケティングに活用する際には「傾聴」が大事とよく言われますが、Pinterestの場合だとツールの特性上、「観察・見物・観賞」という行為をうまく使いこなすことを念頭に置くと、有効な企画に至るための視野が広がりやすいのではないかと感じました。

 その他のPinterestのプロモーション事例に関心のある方は、下記記事もぜひご覧ください。

 プロモーションの模様がわかる動画はコチラ

 参考サイト

Adverblog

先週の紹介キャンペーン

 記事転載元:ブログタイムズBLOG

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この記事の著者

山田 健介(株式会社PR TIMES)(ヤマダケンスケ (PR TIMES))

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MarkeZine(マーケジン)
2012/07/19 11:03 https://markezine.jp/article/detail/15415

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