ソーシャルサービスに音楽をどう介在させるか
今後注目しているトピックスとして、鬼頭氏はソーシャルサービスと絡めた取り込みを挙げる。

「僕らも10代の頃、好きな音楽の話で友人たちと盛り上がりましたが、人から音楽を薦められるというのは今でもごく自然にあることです。ユーザーのコミュニケーションがオンラインで起きているなら、そこに音楽が介在する可能性も十分にあるはず。ユーザー同士のコミュニケーションを起点にして、音楽に接触してもらえる仕組みを考えています」
ソーシャルメディアと音楽レコメンドの親和性は高いはずだが、浸透している音楽配信サービスはまだ見当たらない。ここには、レコード会社との密な調整が必要だからだ。
「ユーザー視点のみから利便性を追求するのは簡単ですが、それでは当社が目指す『ユーザーとアーティストのつながりをつくる』ことは実現できないと思うんです。やはり、若いアーティストの育成や音楽市場自体の発展を考える上では、レコード会社の協力が不可欠なので、これからも密な連携は欠かせません」
アーティストの息遣いを感じられる施策も積極的に
ユーザーとアーティストとのつながりをつくる一環として、現在取り組んでいるのが、イベントなどリアルな場での展開だ。音楽フェスの主催や協賛のほかに、レコチョク本社の広いエントランススペースにて、着うた購入者限定のライブイベントを行うことも。特に新人アーティストのステージには、その背中を押す意味もある。
音楽をデジタルで配信する仕組みの構築だけなら、さほど難しくはない。しかし、それでは「自動販売機的だ」と鬼頭氏。
「アーティストの息遣いを感じてもらえる施策を積極的に取り入れて、ユーザーが喜んで対価を支払い、それがきちんとアーティストに還元される好循環を生み出していきたい。ここにこだわる姿勢は今後も変わりません」
今、Android端末における音楽配信サービスでは同社がトップシェアを誇っている。今後もスマートフォンでも当たり前のように音楽を楽しめる環境づくりを進め、“Androidで音楽ならレコチョク”とのイメージを浸透させながら、スマートフォンならではのサービス開発に注力していく。