キーワードの考え方・扱い方の違い
リスティング広告とSEOのもうひとつ大きな違いが、キーワードの考え方・扱い方である。これに関しては専門的には多くの違いがあるのだが、ここではその中から2点を説明しよう。
①リスティング広告では「サーバ」と「サーバー」を混合してしまう
リスティング広告では特定の媒体において、辞書機能等で特定のキーワード同士を同じキーワードとして認識する仕組みを持っている。例えば、「サーバ」と「サーバー」、「通販」と「ツウハン」と「つうはん」、「パソコンを買う」と「パソコン 買う」といったものである。これはSEOの観点(≒検索エンジンがキーワードをどのように認識するか)から見ると別のキーワードであり、それぞれ個別の対策が必要になる。
②アダルトキーワードに注意
「制服」「喪服」といったキーワードを例にし、その掛け合わせ検索キーワードの種類と数をデータで見ていくと、非常に多くのアダルトキーワードを含んでいる。リスティング広告でその手のキーワードを出稿する際は、意図しない掲載により無駄にクリックされてしまう可能性もあるためリスク管理をする必要がある。キーワードによっては、リスティング広告に不向きなものも出てくるのである。
上記のように、検索結果画面は同じで検索キーワードに対して掲載/表示されるまでは一緒でも、違いがあることを理解した施策が必要である。
クロスメディアにおけるリスティング広告とSEO
昨今のCMメディアなどとのクロスメディアにおいては、その特性から考えるとリスティング広告は基本必須であり、リスティング広告だけに留まらずSEOに関しても対応が求められ、また実際に対応しだしている企業も見られる。上記CM連動時もだが、企業特有キーワードにおける各エンジンでの検索結果において1位表示されている場合に、リスティング広告を出稿すべきかというご相談頂く機会が多い。
その回答はケースバイケースだが「順位が変動する」「競合社のリスティング広告出稿」などに対するリスク回避策として、また、SEO施策ではできない「広告説明文を管理する」メリットや、SEO施策の結果と合わせることにより結果として「2枠掲載/表示する」などのメリットもあることからも、やはり広告出稿すべきである。
リスティング広告とSEOのどっちを行う?
上記「2枠掲載/表示する」メリットだが、これに付随して企業からご相談頂くトピックスがある。「1,000万円の予算をリスティング広告とSEOにどのように振り分けたらよいか?」という質問である。これに回答するためには、「ビジネスモデル」「検索結果上の競合サイト分析」「リスティング出稿データ」などいくつかの情報をもとに各企業に合った回答を出す必要がある。
そもそも収益最大化していくにあたり1,000万円という金額の妥当性自体(500万円もしくは3,000万円?など)も考える必要があり、場合によってSEOは難しいと判断するケースもある。ただし、よほど特殊な場合でなければ、長期的にはリスティング広告とSEOを共存させていくことで収益最大化を図ることができる。それぞれの重みは、投資対効果の範囲内でSEOはより多くのキーワードで上位に、リスティング広告は獲得単価と成約数バランスを最適にしていきながら、その重みの最適化を図っていくしかない。
昨今の新スポンサードサーチの登場、検索のパーソナライズ化などといった多くの変化は、SEMの高度化と複雑化を生み出している。検索はさまざまなメディアやインフラのコンタクトポイントになっており、今後企業はSEMに対しての取り組み方をさらに考えていく必要が増すであろう。
