東京大学大学院の白波瀬佐和子教授らが行った「中高年者の生活実態に関する全国調査」によると、まったく資産を持たず、金融資産を持たない人は男性38.2%、女性 53.4%。特に一人くらしの男性の過半数(57.8%)はいずれの資産も保有していない。女性の間では、一人親と未婚子世帯(50.8%)と三世代世帯(51.8%)で資産を全く持たない者の割合が比較的高い。
過去1年間に、18歳以上の子どもとの間で行った定期的、日常的な経済的な支援についてたずねたところ、85%以上の大多数が「やり取りはない」と回答している。
政府や地域、社会制度をどの程度信頼しているかについては、政府に対する信頼度の低さが際立っている。「政府を信頼しない」と答えた人は6 割以上にものぼり、少子高齢社会における公的年金制度、生活保護制度についても約4割が信頼しないと答えた。
年齢階層ごとに頼ることのできる人の程度を、人的資源保有スコアとして試算したところ、年齢が高くなるにつれて人的資源保有スコアは低くなる傾向がある。世帯構造別では「一人くらし」のスコアが最も低くなっている。また、人的資源のひとつである「近所の人」を挙げる人は、年齢階層、世帯構造別にみても一様にスコアが低く、近隣コミュニティがあまり機能していない状況がうかがえる。
【調査概要】
「中高年者の生活実態に関する全国調査」
実施時期:2010年8月3日~8月30日
調査対象:日本に居住する50~84歳の男女(無作為抽出法を用いて9800人を選出)
調査方法:郵送配布・訪問回収
有効回答者数:6442人
【関連記事】
・「50代を過ぎたら、もう年をとらない」 中高年に広がる“エイジレス感覚”
・20代に多い、食・家族・環境の意識が高い「高感度男性」
・長くなる夫婦生活、シニア夫婦の感情の変化
・家庭のソフトドリンクの購入意思決定、7割以上が女性
・現役パパを上回る、未婚男性の「子育て意欲」