エレクトロニック・アーツのまじめなコツコツ型CRM
日本でもそうだが、かつてゲーム会社はコンソールゲーム(プレイステーションやWiiなど)のパッケージゲームが主力商材だった。しかし、現在では課金型のオンラインゲームやソーシャルゲームなど、商材が多様化しているのに加え、ゲームプラットフォームとしてもコミュニケーションの場としてもマルチデバイス化している。しかし、会員番号をつなぐことでデバイスを跨いだコミュニケーションが可能になる。
米カリフォルニア州に本社を構える世界最大規模のゲームソフト会社、エレクトロニック・アーツのセッションでは、それをどう実現するのかという点について紹介された。
エレクトロニック・アーツが実施していることは、至極まっとうなCRMだ。会員ステイタス(見込み顧客>検討中>1回顧客>リピーター>解約)と接触媒体、ゲームタイトルからタイミングを見計らって、クーポン出したり、リピーターにはリピーターのための特別ななコンテンツを見せるなどして、ユーザーとのエンゲージメントを高めている。
複雑なプラットフォームに加え、様々なデータを扱わなければならない環境の中で、着実にCRMを実行している印象だ。現状ではまだスマートなシステムは無いようだが、“施策計画を踏まえた統一マーケティングプラットフォームの設計”、“何をどう最適化したいか、そのための情報集約”といった考え方をしっかりと持ち、実際の運用経験からフィードバックを受けながら、プランニングを行い、さらには近い将来のためのシステム設計をしているようである。実際に運用を回しているからこその設計思想は、非常に共感させられた。
また、セグメンテーションした際の各セグメントの適正なボリューム(not too broad, not too targeted)あたりの分析屋ならでは肌感覚など、他のカンファレンスではなかなかお目にかかれないディスカッションもあった。


