メールマガジンは、BtoB企業において必ずしも必要ではない
「メールマガジンという手法そのものを疑う」というのは、決して冗談でいっているのではない。そもそも、メールマガジンは配信コストが安く、数十万・数百万という単位でも顧客へのコンタクトが実現でき、効率化を促進できるコミュニケーション手法だ。
一方で、一律の内容でメールコミュニケーションを行う側面があるため、One to Oneの臨機応変な対応は難しい。名前を差し込むセグメントメールなどの形式もあるが、今では顧客に手の内を見透かされ、突出して効果がでる手法でもなくなった。
誤解を恐れずに言えば、メールマガジンは、BtoB企業において必ずしも必要ではない。メールマガジンで得られる「安価」で「一括」対応を推進することで、本来営業対応として重視すべき「丁寧」で「個々」に向けたアクションを疎外してしまう可能性すらある。
こんな例がある。
メールマガジンをリニューアルするにあたりABテストを行った。しっかりとデザインをし、見やすくなるように整えたA案と、そっけなく文章を並べたB案を実際に配信し、比較したところ、時間をかけて準備したA案よりも、ほぼ装飾がないB案のほうがクリック率が高かった。
確かにメールを受け取る顧客の心境になって考えれば、A案のように装飾をすればするほど、いかにも一括配信されたメールマガジンという印象を持ってしまうのではないだろうか。
メールの冒頭で、汎用的な内容だと直感するとどうしても以降の記事に関心がうつりにくい。一方、装飾がないB案は皮肉にも個人対個人に送ったメールかと勘違いが起こりやすい。私信のメールだと思えば、どうしても読まざるを得なくなり、結果的にクリック率が上がるのだ。
この例は残念ながら、メールマガジンは個人対個人の私信メールには勝つことはできないということを示唆している。「メールマーケティング」というと、どうしてもイコール「メールマガジン」のことだと考えてしまいがちだ。しかしながら、BtoBのメールマーケティングの場合、メールマガジンだけではなく、個人対個人で送る私信メールも含めて、メールが持つ効用を最大化するために役割分担を考えなければならない。
企業が検討すべきメールの役割は大きく分けて4つある。
特に、全社的メールマガジンの役割は、企業としてのオフィシャル情報を出しているという側面がある。顧客に特化した情報提供ができない以上、どんなターゲットユーザーにも感じることが可能なメールマガジンだけのメリットが付与されていることが望ましい。例えば、次のような内容だ。
- 欲しいと思っていた情報がいち早く届く
- 新商品の情報がリリース前にいち早く届く
- 公開されていない特別なコラムやホワイトペーパーや事例が読める
- 通常参加しなければもらえないセミナーの資料がもらえる
- 煩雑な情報が整理整頓されている
- 業界や政府の動向などの外部環境情報が整理されている
- メール経由だと安くなる、買えないもが変える、先行予約ができる
- お試しやサンプル提供など通常営業では得られない経済的メリットがある
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