改善により60%を超えるクリック率を獲得
また、部門別のメールマガジンでは、全社では説明しきれない、部門別の顧客の業種や業界に特化した情報を提供することが望ましい。
一方、個人対個人でやり取りされる私信のメールを、メールマガジンとして活用する方法もある。メールマガジンとして準備した文章を、一括配信で送信するのではなく、営業担当個々のメールアドレスからお客様ひとりひとりのメールアドレスへと実際に送信する方法だ。
営業担当1人が1日5通送れば、月100通程度のメールが配信できる。営業部隊が20人いれば、月2,000件程度の配信が可能になり、メールマガジンにも引けをとらない規模が実現できる。実際に1通1通配信するためもちろん労力もかかるが、私信への内容は目が通されやすく、うまくいけばクリック率50%越えもありえる。
さらに、問合せフォームへの自動返信メールをやめ、実際に営業担当がメールを送る方法もある。例えば、資料ダウンロードでも自動返信でPDFをダウンロードできるのではなく、営業担当から個別に説明つきで添付メールとしておくることで商談化率を上げたケースもある。会員登録も自動返信で登録情報を送信するのではなく、営業担当からお礼をお送りするような方法もある。
実際にJ社でも、上記の考えにもとづいてメールマーケティングの建て直しを行なうことになる。組織文化に馴染むまでに時間がかかるため、まだ本格的な構造の改革まではいっていないが、少なくとも初回に送付した私信メールでは、60%を超えるクリック率を獲得した。さらに、私信形式で配信しているため、すぐに商談にはならなくても部署異動の連絡があったり、後任の人を紹介してもらえたり、久しぶりに飲みましょうという連絡が帰ってきたりと、クリック以上の情報が得ることができた。メールマガジンで一括送信していれば、ありえなかった成果であろう。
顧客の囲い込みという名の元、メールマガジンも多くのBtoB企業に浸透してきた経緯があるが、残念ながら「顧客が囲い込まれても良い」と感じるのは、囲い込まれていることそのものに明らかなメリットがあるからだ。
BtoBにおけるメールマーケティングとは、「メールマガジンで何を伝えるか」「私信のメールで何を伝えるか」を総合的に計画し、マーケティングとして結果を出すという視点に置き換えてよいだろう。実際の役割分担の例が次のとおりだ。
まずは手間を掛けてでも、メールを活用して最も効果につながる仕組みを見つけるための努力をすべきだ。その上で、いかに効率化ができるのかを考えたほうが良い。
もしあなたがBtoB企業に在籍するWebマーケティング担当者で、メールマーケティングがうまくいっていないと感じるのであれば、なるべくアナログな方法に、いったん回帰することをお勧めする。まずは私信メールを実施し、うまくいった内容を分析すべきだ。その上で効果的であった内容を熟慮し、メールマガジンとして効率的に配信ができれば、「効果と効率」両方の面から成果が期待できるだろう。
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