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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2012(AD)

デジタルマーケティング時代の「察して応える」Webサイトを構築する5つの秘訣

 スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって、Webサイトは顧客接点としてますます大きな役割を担うようになっている。そんな中、10月5日に秋葉原コンベンションホールで行われたMarkeZine Day 2012では、「『察して応える』Webサイト~最先端Webコンテンツ管理テクノロジーだから実現できるマルチデバイス時代の顧客エクスペリエンス最適化」と題し、サイトコア株式会社 取締役副社長 高沢冬樹氏による講演が行われた。

デジタルマーケティングを推進する5つのプロセス

サイトコア株式会社 取締役副社長 高沢冬樹氏 

 「これから求められるWebサイトでは、従来の発信型で情報を出して終わりということはありえない。中核には当然コンテンツがあり、お客さまにとって役立つコンテンツでニーズに応えながら、関係性を育んでいく必要がある」と高沢氏は語り、新しいデジタルマーケティングを推進する5つのプロセスを紹介した。

  1. CONTENT ACTION VALUE:内容→満足
  2. DISCOVER:見出す
  3. UNDERSTAND:察する
  4. RESPOND:応える
  5. NURTURE:育む

プロセス1:コンテンツのクオリティ確保のためのシステム活用

 企業のソーシャルメディア活用が進む中、コンテンツ作りに日々頭を悩ませている担当者も増えていることだろう。もちろん人的リソースを駆使してコンテンツを練り出す作業も必要だが、その前に、システムを活用して「効率的な編集の実現」「一貫性の確保」「チャネル全体で再利用」することで、「コンテンツのクオリティを担保することで、お客さまの満足度を高めることに繋がる」と高沢氏は指摘し、Sitecoreに装備されている次の機能について述べた。

リアルタイムかつ直感的なコンテンツ編集

 直感的に編集できるインターフェイスで、最終的なレイアウトの調整も可能。

アクセシビリティとSEOの自動検証

 アクセシビリティチェッカーやSEO対策機能が組み込まれており、リンク切れが起きていないか、代替テキストが挿入されているかなど、チェックルールを作って自動判定することができる。

マルチ言語コンテンツのバージョニング

 日本語環境だけでなくグローバルでガバナンス化して多言語の中でも同じフレームワーク・同じバージョン管理で対応可能。各国に合わせてコンテンツの内容は変えつつも、デザイン・品質管理は統一化できる。

統合コンテンツ管理

 スマートフォン対応が必須になりつつある中で、ページ単位でデバイスに合わせた調整を行っていくのは、非常に効率が悪い。コンテンツを統合的に管理することで、一度の更新で各デバイスに最適化されるだけでなく、メールに挿入したり、アプリで表示させたりすることも可能。

ソーシャルサービスとの連携

 ソーシャルメディアと連携させることで、コンテンツの拡散だけでなく、さらに反響の分析や、プロファイリングまで一連の流れで行うことができる。短縮URLの設定やトラッキングコードの埋め込みも自動化が可能。

 「CMSを間に挟んで、ビジネスユーザーはコンテンツを作成・編集し、開発者とデザイナーはプレゼンテーション(ビジュアル化)にフォーカスすることで、分業作業を効率的に行うことができる。一部を外注したい場合などもフレキシブルな対応が可能」と高沢氏は語る。 

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プロセス2:Webサイトに来訪したユーザーから情報を見いだす

 次のプロセス、「DISCOVER:見いだす」にうつろう。何を見いだすのかというと、自社サイトを訪れたお客さまに関する情報である。高沢氏はアパレルのブランドショップを訪れたときに、店員がお客さまの服装から体型、足を運ぶ経路、目線の行方などをチェックして接客に活かしていることを例に挙げ、Webサイトでも以下4つのポイントによって、リアルな接客に近いお客さまの情報を見いだせると説いた。

アクセス解析のカジュアル化

 ワンクリックでレポート表示が可能になり、効率アップ。これまでは手が回らなかった細かいところまで目を光らせることが可能となるだけでなく、結果を元にすぐにコンテンツを修正できるので、次のアクションが速くなる。

複数のチャネルで一環したキャンペーンの効果測定

 最終的なゴールへ到達するためのチェックポイントとなる「マイクロゴール」。例えば、ニュースレターの申し込みやウェビナーへの参加登録、ホワイトペーパーのダウンロードなど複数のチャネルで行ったキャンペーンの達成状況を総合評価することで、ユーザーとの関係性を正しく計測する。

バリューの高い(低い)キャンペーンを見極める

 Sitecore独自のシンプルな指標による効果測定で、トラフィックの種類や訪問時の参照元などのビジターのバリューを簡単に評価することが可能となる。

最適なコンテンツの組み合わせ

 重要性はわかっていながらも、手間がかかって難しいテストを簡単に行える機能を装備。画面プレビューを見たまま画像や文字を差し替えてA/Bテストを行い、その結果をボタンひとつで反映させることができる。

プロセス3:ユーザーの潜在的ニーズを察する

 あらかじめ用意したコンテンツで、Webサイトを訪れたユーザーの情報を見いだした後は、ユーザーの潜在的なニーズ・関心を「UNDERSTAND:察する」プロセスへと移る。そのために、必要なことは「行動からビジターごとのプロファイルを生成する」「複数の属性を通してビジターを理解する」「事前に定義されたペルソナとビジターのマッチングを行う」ことが大切であると高沢氏は説く。

 具体的な手法としては、まずは匿名でもわかる基本的なこととして、“検索キーワード”に注目してみる。ユーザーがどんなキーワードで訪問したのかを見れば、関心のある商品がわかる。また、どのページを回遊しているのかという点に注目することで、ユーザーの興味・関心の深さを察することができるのだ。

 ページごとにペルソナ情報や商品属性を事前に設定しておき、ユーザーが閲覧したページの情報や属性をリアルタイムで集計することができれば、ユーザーがどのタイプのペルソナと似ているのか、どの商品に強い関心を持っているかがわかる。ユーザーの気持ちを察し、その関心事項に応じてレコメンドする商品や情報を変更すればよいというわけだ。

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プロセス4:ユーザーが求めるシナリオを推し量り、パーソナライズを

 ユーザーの心理を察することができたなら、次に行うべきは各ユーザーに最適化したおもてなしで、ユーザーのニーズに応えることだ。高沢氏は「基本的なことだが、いろんな玄関から飛び込んで来たユーザーに対して、同じトップページへ誘導しているサイトがあまりに多い」と指摘する。本来ならば、検索キーワードに応じてユーザーが求めているシナリオを想定し、パーソナライゼーションした上で、見せるページも変えるべきなのだ。

 パーソナライゼーションは、特に会員サイトやECサイトで絶大な効果を発揮することが、いろんな調査で裏付けされつつあるという。高沢氏は、欧州最大のLCC「easyJet」を例に挙げ、パーソナライゼーションしてユーザーの求める情報を適切に見せることによって、同社のWebサイトでのコンバージョン(座席枠の稼働率)が20%向上したと説いた。

プロセス5:カスタマージャーニーを設計し、ユーザーとの関係性を育む

 最後は、Webサイトを訪れてくれたお客さまの要望にじっくり応えながら、その関係性を良好なものへと育んでいくプロセスだ。「先に示したパーソナライゼーションは、どのステージにいるお客さまかによって、当然ながらその効果は変わって来る。あまり考えずにランダムに設定していると、お客さまはゴールへなかなか辿り着けずに離脱することになってしまう。ここで重要となるのは、カスタマージャーニーの設計」と高沢氏は指摘する。

パーソナライゼーションのためには、システム化がデフォルト

 「WebサイトとCRMを連携・統合させて、マーケティングシナリオをシステム化することは、今後のパーソナライゼーションを活かすサイトでは基本的なアーキテクチャとして捉えてもらいたい」と語る高沢氏。

 「今日紹介した新しいマーケティング手法は、“やる”か“やらないか”で言うと、やれるようになることが勝ち抜くための必要条件ではあるが、全部を一気にやらなくてもいい。Sitecoreでは各社の状況に合わせて、どこから始められるか、どこまで進んでいるかをアセスメントしたり、手法の紹介やワークショップを用意したりしている。環境を整える重要性を認識し、まずは5つのプロセスに沿って貴社サイトの刷新を検討していただければ」と説き、講演を締めくくった。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/02/28 21:15 https://markezine.jp/article/detail/16606