リクルート流・データの可視化~評価に統計値を利用したモニタリング
リクルートでは、ビジネスインパクトを生みだすためのデータ活用をテーマにさまざまな取組が行われています。ここでは、データの可視化の最も基本となるモニタリングについて、簡単に事例を紹介していきます。
モニタリングとは、あらかじめ設定しておいた計画・目標・指示について、その進捗状況を随時チェックすることです。ただしビジネスの場では、チェックが目的ではなく早期発見・早期対処のために指標をトレンドで把握することが重要になります。
では、早期発見・早期対処のためには何が必要でしょうか? それは、正しく解釈するための指標を設計し、直感的に判断できる(解釈し易い)形で表現することです。
そこで、今回は2つの統計学を用いて構築された、モニタリング機能の例をご紹介します。
統計学による評価基準の採用
まず1つ目は、統計学による評価基準の採用です。
前述で述べましたが、1%の増加が(偶発的ではなく)意味のあるものかどうか知りたい場合、増加率だけでは判断することができない場合があります。そのため、意味のある差であるか判断するために、検定の機能を持たせ、統計的に有意な(偶発的ではない)場合に色や印で表現しています。その結果、解釈すべきポイントを明らかにすることができるのです。
統計学による予測値の採用
また2つ目は、統計学による予測値の採用です。
来月の売上が、目標をどの程度達成できるか見立てることができれば、広告予算の増加など早期対処が可能となります。そのため、主要指標については予測アルゴリズムを実装し早期対処・早期検討を促進しています。

このようにリクルートではデータの可視化に積極的に取り組み、明確化された目的に対して“アクションの判断を促すための情報”を“正確に算出”し、“解釈できる形で表現”することで、ビジネスのジャッジに有効な情報を抽出し、データ活用を行っています。
私自身も予測や最適化など、高度な統計学を利用しデータ活用を推進しています。しかし、高度な統計学を用いる前には本章のようなデータの可視化が重要になります。ここを疎かにすると、効果的・効率的にデータ活用ができないというのも事実ではないでしょうか。
本章では、データの可視化にフォーカスをあてデータ活用の実現における基本を紹介させていただきました。次回はレコメンドをテーマにそれを実現するためのソリューションについて事例を交えて紹介していきます。お楽しみに!