専任のコミュニケーションスタッフ
今年の7月3日、渋谷のヒカリエホールでNHN Japan主催の「Hello Friends in Tokyo 2012」が開催された。そのイベントをMarkeZineのFacebookページで投稿したところ、すぐにコメントが返され、レスポンスの速さに驚いたことがある。

「弊社の特徴は、専任でユーザーとのリレーション担当を置いていること。基本的にソーシャルメディアのコメントなどは全部見て、必要があればTwitterやFacebook、ブログにコメントをかきこみ、コミュニケーションしている」(矢嶋氏)
「他の会社だと、広報など他の業務と兼任してTwitterの運用もしている方が多いように感じています。たくさんある業務の中のひとつ、として取り組んでいる会社が多いですね。専任という立場は珍しいですが、だからこそ、密にユーザーとコミュニケーションできます。片手間だとでむずかしいですね」(金子さん)
LINEの成長過程の3つのフェーズ
2011年6月のリリース当初はメッセージアプリとしては後発だったLINE。今の国内ユーザー3,400万人という圧倒的な地位を築くまでの道のりをうかがった。
「リリース当初、LINEのコンセプトやサービスにユーザーのニーズが本当にあるのかわからず、ユーザーとの関係性もできていなかった。いきなりそこでテレビCMをやっても、1度は使ってくれるかもしれないが、LINEのユーザーとして固定化はしてくれなかっただろう。なので、まずはソーシャルメディアを通じて、ユーザーと関係性をつくることから始めた。ある程度信頼関係ができたうえでマス広告をやろう、というのが基本的な我々の考え方だ」(矢嶋氏)

LINEの成長過程は、大きく3つのフェーズに分かれる。
参入期
まずは2011年6~9月を参入期。リリース直後は、今のように無料通話やスタンプの機能がなく、差別化するポイントをユーザーに伝えていくのがとても難しかったそうだ。強いて言えば、素早くリリースしたサービスをユーザーの声をもとに、ユーザーが求めるものへ作り上げていくフェーズであった。
「トークやチャットのレスポンスの速さといった、実際の使い勝手や操作性といった点では自信はあったが、そこの良さは実際に使ってもらわないと、なかなか伝わらない。実のところ、最初のころは何をウリに伝えていくのかとても苦労した」と矢嶋氏は語る。
2011年8月、ノンプロモーションにもかかわらず、中東でLINEが自然発生的にブレイクした。この出来事から、LINEというサービスにニーズがあると確信をもち、国内ユーザーを大きく伸ばすことになるテレビCMを放映に踏み切ることになる。
成長期
2011年10月に無料通話機能とスタンプの機能が追加されて、成長期へ。国内よりも先に、まず海外での利用者数が伸びた。そして2011年11月にテレビCMを放映して、一気に国内のユーザー数が伸長した。
拡大期
2012年1月からは拡大期。一般化していくフェーズに差し掛かっている。国内ユーザー数3,400万人を突破した今日では、既存ユーザーからの紹介で自然にユーザーが拡大していくポジティブなスパイラスが起きている。