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話題のサービス「LINE」関係者インタビュー

「ユーザーの声がつくるLINE」1億人ユーザーを目指すLINEの成長戦略に迫る【第3弾マーケティング編】

1億人ユーザーに向けて

 2012年ユーザー1億人という目標に向けて、今後はどのような戦略をとっていくのかたずねた。

国内戦略

 「今は、国内3,400万人というユーザーがいて、既存のユーザーが友達に進めてくれる環境ができているように思う。なので、今はプロモーションよりも、FacebookやTwitter、公式ブログで定期的に会社の情報を知らせしたり、不具合があったときに能動的にサポートすることに重きを置いている」(矢嶋氏)

 LINEは、すでに一般化のフェーズに差し掛かっている。特に10~20代の若年層では、周りのみんなが使っている環境になっていて、自然に口コミでサービスが伸びていく土壌が出来ているといっても過言ではないだろう。だからこそ、サービスに対する安心感を提供したり、サービスの質を落とさないといった、既存のユーザーを大事にするフェーズにシフトしているのだろう。

海外戦略

 一方、海外ユーザーを増やす取り組みを、今後は積極的にしていく。すでにユーザー数が増えている東アジア圏では、台湾でのテレビCM放映やスマートフォンのアドネットワークで広告を出稿するなど、成長を加速させるための施策を中心に行っている。

 そして、まだLINEのユーザーが少なく、これから開拓していく市場としては中国とアメリカを見据えている。現段階では、LINEを知ってもらう機会をつくるために、テストマーケティングを開始している。

 「スマートフォン広告のクリエイティブも、無料通話をメインにしたもの、スタンプをメインにしたもの、日本で流行っている、などいくつかパターンを用意している。どのクリエイティブが一番クリック率が高いのか、その国の人たちの心に刺さるのか、何がその国の人たちにニーズがあるのかを検証しているところ」(矢嶋氏)

業界動向を見据えた今後の戦略

 DeNAの「comm」やヤフーとカカオトークの提携など、スマートフォン向け無料通話・メッセンジャーアプリ市場界隈がにぎやかになっている。業界動向を見据えた今後の戦略をたずねたところ、「もともとLINEのユーザー数が1,000万人を超えた地点で、各社が参入してくることはすでに予期していた」と矢嶋氏は語る。

 「競合サービスを意識するというよりは、既存のユーザーの満足度を下げないのが一番大事不具合が生じた時に、他の競合のサービスに切り替える要因となる。他社動向や表面的機能差を気にするのではなく、既存ユーザーを見つめて大事にしていく。これはマーケティングだけの問題ではなく、会社として取り組んでいる」(矢嶋氏)

 ソーシャルサービスは、先にシェアを獲得してしまえば、基本的にスイッチしにくい。ちょっとした機能の差よりも、周りのみんなが使っているかが重要なのだ。だからこそ、国内で3,400万人のユーザーを抱えていることは、LINEにとって圧倒的なアドバンテージである。また、既存のユーザーの声に真摯に応えていく姿勢も、ユーザーを魅了し続けるサービスの秘訣のひとつだろう。

 スマートフォンファーストで設計されたLINE。今やスマートフォンユーザーの誰もが使うサービスになりつつある。リリース当初はシンプルなメッセージアプリであったサービスが、今やツールの枠を越えて、スマートフォン革命時代のコミュニケーションのインフラへなりつつある。

 そして、先日発表されたビジネスアカウント「LINE@」などの新サービスも始まり、私たちの生活を包括的に取りまくようにLINEの世界が広がりつつある。コミュニケーションのインフラから、オンラインとオフラインをつなぐO2Oのマーケティングプラットフォームへ。LINEによってつながる新たな世界がどのように具現化されていくのか、期待を込めて今後もその動向に注目したい。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2012/11/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/16718

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