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統括編集長インタビュー

[横山×田島対談]データもツールもつながる、御社の組織はつながってますか? ビッグデータ時代の最適なマーケティング環境とは


 トリプルメディア、アドテクノロジー、ビッグデータで大きく変わるマーケティング。それに企業の組織は適応できているだろうか。デジタルインテリジェンスの横山隆治さんと、リクルート 住まいカンパニーでSUUMOのブランドマネジメントを担う田島由美子さんに語ってもらった(進行:MarkeZine編集長 押久保剛、前編はこちら)。

判断し、実行せよ! データを「見ている」だけなら、高いツールは不要

――リクルートさんはデジタル・マーケティングの先進企業ですが、データ活用にはどのように取り組まれていますか?

株式会社リクルート
住まいカンパニー
企画統括室事業推進・事業開発部
ブランドマネジメントグループ
田島由美子さん

田島:オンラインのアトリビューションは磨き込みの段階に入っています。需要予測、つまり、これだけの効果が欲しいときにどれだけの施策を打ったらいいかがわかる仕組みは整ってきています。

 これから取り組もうとしているのは、オフラインからオンラインのアトリビューションです。テレビCMがどれだけWebのアクションに効いているのか。各施策の関係性の仮説からモデル図を描き、直接効果、間接効果も含めた因果関係が統計的に妥当であるのかの検証をすることで、各施策のWebアクションへの貢献度を明確にしていきます。マス広告を1%減らしただけでもかなり大きなコストが浮くので、ソーシャルの貢献度が高いのであればソーシャルに投資配分を変えるなど、今期中にそうしたモデルに変えていきたいなと考えています。

横山:アドテック東京2012の僕のセッションは、まさにアトリビューションがテーマでした(レポート記事はこちら)。オンラインのアトリビューションはかなり突っ込んだところまで来ているのですが、オフラインと別々に走っても意味がない。とりあえず、「ゴールはオンラインにある」という従来のRFM分析で始めているのですが、オフラインならそれが、リアルな店舗への送客だったり売上だったり。説明変数が複雑なのは以前からわかっていたんですが、目的変数も複雑なんです。単純に、POSデータや売上のように1つではない。多構造化モデルを作って取り組んでいます。

 大きな声じゃ言えないんですが、分析をすればするほど、説明変数「広告」の寄与率が低い。それよりも、有名人のTwitterで取り上げらて一気にとかね。これは、僕らのように広告を売らない、サードパーティでなければできないことです。

 いずれにしろ、マス広告には莫大な金額を使っているので、それを5%でも改善できれば大きな効果につながるし、その分をアトリビューションの測定モデルに使ってもいいはずです。ツールもシミュレーターだけなら1,000万円もしないものが出てきているし。以前は「アメリカではできるけど、日本ではデータがとれない」なんて意見があったんですが、ビッグデータ時代でそこそこデータがとれるようになってきたのは事実なので。

田島:解析速度が非常に速くなりましたよね。数年前まではデータ解析に何時間もかかっていたのが、今はクラウドなどの環境も整い、リアルタイムでサービスを提供できる企業も出てきましたから。

株式会社デジタルインテリジェンス
代表取締役
横山隆治さん

横山:マス広告が効かないというのではなくて、いろいろと複雑な経路があって、単発の施策で成功することがなくなってきた。同じマーケティング・コストを使うのであっても、いろいろ組み合わせてやるようになってきています。すると、何が効いて何が効かないのかを詳らかにしないと。100年前から「半分はムダだ」と言われていますが、どちらの半分がムダかわからないからそのままやり続けるというモデルを、今後も続けるんですか?と問われているわけです。

 いきなりマス広告を半分にしなくてもいいんですが、もう少し科学的にやるべきだなと思っています。ビッグデータ・マーケティングとは、「データによって判断する」こと。データもとれて、解析ツールが出てきても、「ふーん」と見ているだけじゃダメ。広告の予算配分も、会社の中の力学で決まってしまうなら、最初から高いツール入れる必要なんかないんですよ。

 事前に、「この閾値を超えたら◯◯する」ということを、ちゃんとプログラムして判断できるかどうか。そのくらいのことをしないとデータドリブンとは言えない。データで経営判断をするところまでやるか、やらないか。何を判断するためにデータを取っているか。その考え方が文化として根付かないと、ビッグデータにお金を使っても意味がないでしょう。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/12/06 16:40 https://markezine.jp/article/detail/16743

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