今さら聞けない第三者配信
第三者配信は、英語では「3PAS(3rd Party Ad Serving)」と言い、“スリーパス”や“サードパス”と呼ばれている。「私の理解では、3PASには広義と狭義の2つの定義がある。弊社が提供するdigitaliceは狭義の3PASであり、まずそこの定義を明確にすることが大事だ」とFringe81 digitalice事業部 執行役員 兼 事業部長 佐藤洋介氏は説明を始めた。
第三者配信でいうところの当事者とは媒体社のことであり、そして第三者とは媒体社以外の広告主などを意味する。このことから、「広い意味での3PASとは、媒体社が持つサーバー以外から媒体に対して広告配信を行うことであり、DSPやアドネットワークなども含まれる。一方、より本質的な意味、つまり狭義では3PASを価値として提供しているベンダーからの広告配信のことだ」と佐藤氏は語る。つまり、狭義の3PASはデジタルマーケティングのプラットフォームとも言える。
また、「広義の3PASと狭義の3PASの違いは、媒体の買い付けの有無だ」と佐藤氏。例えばバイイングツールが始点のDSPは媒体の買い付け枠に制約される。一方で狭義のdigitaliceでは、媒体枠の買い付けに制約されず、アドネットワークに加えてリスティングや純広告など全てに渡って広告主側で管理でき、キャンペーンマネジメントの一元管理が可能だ。
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3PASが提供する3つの価値
3PASが提供する価値について、下記の3点を佐藤氏は示唆した。
媒体制限を超えた表現の提供
媒体によって定められたレギュレーションでは、リッチな表現のバナー広告を展開することは難しい。3PASのサーバを経由することにより、媒体制限を超えたクリエイティブを実現できるようになる。
広告の制御
3PASの管理画面で、配信するクリエイティブの動的な制御や複数の配信先に対する広告の一括制御を行えるようになる。効果の悪いクリエイティブを差し替えたい場合、媒体ごとに対応する手間を省くことができる。
見える化
3PASのサーバー経由することで、インプレッションからユーザーの閲覧回数を計測できる。さらに、広告閲覧と検索を紐付けることができ、ビュースルーサーチの計測が可能に。ビュースルーサーチとは、ユーザーのブラウザへの広告表示後に、検索経由のアクセス数を計測したもの。ここがdigitaliceで最も力を入れている強みであり、アトリビューション分析に寄与するポイントとなる。
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全ての始まりは、計測の指標をそろえることから
ここで下記の図表を見てほしい。「青いマルは何個あると思うか」と佐藤氏は問いかけた。
「人によって答えは3~6個とばらつきがあるだろう。それは計測する時には、常に計測者の主観が入るからだ。これはデータの測定の際にも言えることであり、計測する指標を統一しないと、効果測定にもズレが生じてしまう。ここで重要なのは、青いマルがいくつかということではなく、観測者を統一して指標をそろえること。これが計測における本質であり、第一歩だ」(佐藤氏)
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第三者配信アドサーバーを使いこなし、武器にする
そして、digitaliceの管理画面を用いながら、実際に広告を配信するまでの流れについて佐藤氏は解説を加えた。digitaliceの作業フローは(1)アドユニット(キャンペーン)登録 (2)メディア/メニューの登録 (3)クリエイティブの登録(4) 配信タグの発行の4ステップである。
「digitaliceを使えば、ビュースルーサーチがわかるだけでなく、その内訳がリスティング経由なのか、オーガニック検索だったのかといった判別もできる。バナー広告を出してから、検索経由のアクセスが増えたという感触を持っている人は多かったが、これまではその因果関係を立証する術がなかった。それが、digitaliceによって可能になる」と佐藤氏は語った。つまり、digitaliceは広告効果を実証するための武器になると言えるだろう。
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事業拡大への3PAS活用術
続いて、オムニバス 取締役COO 矢野茂樹氏とブレインパッド アナリティクスサービス部 佐藤洋行氏をゲストに招き、3PASを取り巻く現状について、Fringe81 代表取締役 田中弦氏を交えたトークセッションが行われた。
田中:オムニバスさんでは3PASを広告代理店として提案していますか?
矢野:そうですね。自社ネットワークだけでなく、DSPや3PASを使った広告の配信から解析まで提案しています。おかげさまで堅実に伸びていますね。
田中:3PASが占める割合はどのくらいですか?
矢野:まだ3分の1に届かないくらいですが、ブランドの案件では3PASを使わないとやりたいことを実現できないので、ほぼ必ず使っています。
田中:3PASを導入することを、クライアントから面倒くさがられたりしませんか?
矢野:確かに最初は大変でしたが、
田中:情報の洪水になることは?
矢野:それはあります。情報量が多いので解析も大変ですし、お客さんも何をもって良いと評価したらいいかわからないことも。
田中:3PASをクライアントに提案するときに大事なポイントは?
矢野:やはり、やる前に評価指標を決めておくことが大事ですね。最初にKPIを設定すること。すると、今まで見えなかったところが見えるようになって、3PASを使ってよかったという話になる。そこから次に繋がって、長いお付き合いになりやすいです。
田中:なるほど。次はブレインパッドさんにお聞きしますが、御社の分析体制はどんな感じですか?
佐藤:弊社は8年前の創業以来、一貫してマーケティングデータの分析をやっている会社なのですが、全体で117名のうち、分析官が社内に40名ほどいます。
田中:取り扱うデータは変わってきていますか?
佐藤:そうですね。最近のように大量のデータに基づいた案件が本格化したのは去年の初めくらいからです。
田中:代理店さんからの問い合わせ内容は「ネットとマスって連動してるんですか」みたいな感じですか?
佐藤:そういうのも最近かなり増えていますね。代理店さんからは「お客さんからこう言われたんだけど、できる?」と来るので、広告主さんのニーズが高まっているんだなと感じています。
田中:ダイレクトレスポンスのお客さんって、何十万円といったフィーを払ってくれるイメージがあまりないのですが、その辺りはどうですか?
佐藤:そこは大丈夫ですね。アトリビューションって、予算の最適化だけじゃなく、“こういう繋がりで人は購入に至っているんだ”ということが見えて、次のプロモーション企画に活かすこともできるので、レポートだけでも価値を感じていただけています。
田中:アトリビューション分析には、どういうデータがあると頼みやすいですか?
佐藤:「日付/どこにいくら広告を出稿したのか/クリック数/コンバージョン数」があれば一応分析はできるのですが、理想を言えばdigitaliceみたいな間接的なデータがあれば、どんな分析でもできます。媒体の種類に関しては、数が少ないと最適化する幅が小さくなるので、多い方が良いですね。
最後に田中氏は「これから2年くらいは、データの洪水になったり、オペレーションが複雑になってきたりするだろう。だからと言って、インターネット広告がよくわからない・儲からない市場になることは、絶対に避けたい。データ量が増えたことで、クライアントにとって適切な意思決定ができる環境が整ってきているのは確かである。我々はdigitaliceを通じて、人間ができない部分を効率化したり、データを簡単に見られるようにするなど、多くの企業の力強いパートナーになりたい」と語り、セミナーを締めくくった。
アドテクノロジーの進化により、かつては不可能だったことがどんどん実現しつつある。しかしながら、その恩恵を手にするためには、テクノロジーに対する知識を深め、適切なツールを導入し、使いこなす必要がある。環境はすでに整っている。競合他社よりも一歩先に踏み出し、アドテクノロジーの恩恵を自社利益に活かすために、当セミナーの資料を参考にしてはいかがだろうか。
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