走り続けてきた半年を振り返る
MZ:昨年7月にマーケティングイノベーション室室長に就任してからいろいろなことがあったと思いますが、走り続けてきて今どんなふうに感じていますか?
友澤:短いなりに大きい山を動かすことができたので、満足している部分があります。一方でYahoo! JAPANというよりもアドテク業界全体なんですが、「プログラマティック」と呼ばれている、大量のデータを使ってアドテクを刈り取りに使うという流れは、正直なところ、媒体社、広告主、広告会社にとってもハッピーではないと思っています。
米国では「メディアはデリバリーだ」と言われていて、シュリンクしそうになっている一方で、新聞社や雑誌社を中心にコンテンツ回帰が起こっていて二極化している。日本では、テクノロジーにクリエイティブが追いついていない状況です。そこは、今後の課題としては残るかなと思っています。
MZ:友澤さんはインタビューなどを通じて積極的にメッセージを出していますが、Yahoo! JAPANが現在の組織になって、そういう姿勢が鮮明になったということはあるのでしょうか。
友澤:私の前々職であるリクルートの時代にリスティング広告が登場し、それが獲得系に振れていったとはいえ非常に革新がありました。それを実際に自分が運用するなかで、旧態依然とした広告の世界における変化の流れというのをすごく感じていました。
リクルートではディスプレイ広告の担当で、結構やんちゃもやっていた(笑)。でも、昔は情報をオープンにしないで、みんな隠そうとしていました。結局、自分たちだけが良くても、まわりが動かないと何も変わらないことに気付いて、広告主、広告会社、媒体社の人たちとノウハウを共有するなかで、次第に「デジタルをしっかりやらないといけないね」という雰囲気になっていった。自分の想いの原点として、そういう変化を経験していたことが大きいと思います。
Yahoo! JAPANは未開の荒野、テレビのクリエイターとも連携していきたい
MZ:Yahoo! JAPANは昨年、認定第三者配信アドサーバーとしてMediaMindを採用しました。米国では、そうしたソリューションを活用し、テレビとオンラインメディアの距離が埋まりつつあるように思うのですが。
友澤:アメリカではもうテレビCMのデジタル入稿が始まっていますが、そこに100%シフトするのはまだつらいと思います。今はシフトというよりも、テレビとネットをどう組み合わせるかという段階です。セカンドスクリーンというかたちで、テレビとデジタルの融合が具体的に始まっています。
現在のアドテクの流れは効率化のほうに行っています。そうするとマーケティングはオペレーションになっていく。この状況はクリエイターにとってはあまり面白くないですよね。Yahoo! JAPANはまだまだ未開の荒野です。そこを舞台に、テレビで活躍されているコンテンツクリエイターの方々にも面白がってもらえる世界を提供していけたらと思っています。
MZ:Yahoo! JAPANが未開の荒野ですか?
友澤:まだまだですよ! たくさん人はいますけど、CTRが1%だとすると、99%は何も反応しないと言われてしまう。そこの価値を高めていくにはクリエイティブの力で伸ばしていかないといけない。その意味でも、クリエイターの方々とぜひいろんな連携をとっていきたいと考えています。