「守り」ではなく「攻め」“競争優位”のためにデータができることを考える
編集部:リクルートテクノロジーズさんは、リクルートが展開するサイトの運営に加えて、データの活用・分析も一手に引き受けていると伺いました。改めて、事業領域を教えてください。
菊地原:リクルートには、事業会社が運営するWebサイトなどが、大小合わせて100以上あります。当社の役割は、これらのサイトに競合優位性の高いIT・ネットマーケティング基盤を実装することです。ネットサービスをする上で必要なソリューションの創出と展開は「ITソリューション部」が担当しており、ビッグデータの基盤整備とデータ活用は「ビッグデータグループ」が担当します。私は、「ビッグデータグループ」の組織長をしています。
編集部:ビッグデータグループは、普段どんなお仕事をされていますか。
菊地原:蓄積されるデータの分析・活用ですね。「サイトのアクセス状況をモニタリングしましょう」「レコメンド機能を強化しましょう」など、内容や狙う効果は様々です。一つひとつがプロジェクト化されていて、先日数えたら1年で160案件もありました。
ビッグデータグループは、分析技術に特化したチームと、アナリストのチームに分かれています。トップアナリストとして、実際のプロジェクトを統括しているのが西郷です。
西郷:どうも。
編集部:こんにちは。リクルートグループには、実際に事業を運営する事業会社と、御社のようにIT周辺の「機能」を担う会社があります。160のプロジェクトは、通常どちらから生まれるのでしょうか。
西郷:どちらもありますね。事業側から相談がくる場合もあれば、機能側から提案をすることもあります。でも昔は機能側からの提案が多かったですね。
不思議なのですが、提案をして議論を重ねていくと、「一緒に考える」ようになるんです。そもそも会話やコミュニケーションが多い会社ですし、現場からボトムアップで仕掛けていく社風も影響しているでしょう。
編集部:現場主義のリクルートさんならでは、ですね。
西郷:でも「リクルートだからできた」わけではなく、分社前からの私たちの立ち位置も大きく寄与していると思います。
私どもの会社は昨年10月に分社化しましたが、それまで私たちの組織は「MIT」と呼ばれていました。「Marketing+IT」の略で、ただ「統計解析が長けている人」なのではなく、そのスキルをマーケターと一緒に価値にかえていくことに重きを置いていたのです。
加えて、MITが全社横断型の組織だったことも、他部門とのコミュニケーションを円滑にした要因だと思います。
菊地原:当社のミッションに「リクルートグループの競争優位を構築する」という一文があります。IT部門というと、コスト削減、保守・メンテナンスといった「守り」のイメージがありますが、当社は「攻め」て「競争優位」につなげなければなりません。
事業会社の担当者がITに明るくなければ、我々がその部分を補う体制をとるなど、協業するための工夫を講じています。