「クリック起点」ではなく「ビュー起点」での評価を
同社が提供する広告効果測定システム「アドエビス」は、広告効果測定機能を網羅的に有する。導入実績は5,500件超、調査会社シードプランニングが2007年に実施した調査によると国内シェアNo.1のサービスとなり名実ともに業界を牽引してきたといえる。
これまでの広告施策評価はクリックベースで、バナーやリスティング広告がクリックされてはじめて評価対象となる。しかし本来であれば広告施策の評価はクリックだけではなく、ビューも含めたトータルの接触点で評価すべき。ビューデータも収集すると取得データ量がこれまでとは比較にならないほど増大するが、同社ではどのように考えているのだろうか。
「ビューとクリックのデータ量がどれくらい違うかというと約1000倍。例えるなら、『富士山』と『物干し竿』の高さくらいの差になるのじゃ!!」
「……あれ?! 「アドエビス」のキャラクター、エビスくんではないですか。えっと、今日は岩田社長のインタビューに伺ったのですが…」(記者)
「どうも、どうも」 (岩田社長)
「…あっ、岩田社長!笑」(記者)
「大変失礼しました。一度やってみたくて。でも似合うでしょう?! このままエビスくんとして話してもよいかと思ってるのですが、どうですかね?」(岩田社長)
「……お気持ちは嬉しいのですが、社長の姿でお話を聞きたい読者さんも多いと思いますので…」(記者)
「いやでも…」(岩田社長)
「社長…」(記者)
「そうですか…。では残念ですが、本来の姿に戻りましょう」(岩田社長)
…では改めて、今回、第三者配信事業参入のきっかけから岩田社長に聞いていこう。
ヤフーの第三者配信受入により市場参入を決意
海外では広く普及する第三者配信サービス。媒体ごとにアドサーバから広告を配信するのではなく、第三者配信アドサーバから一括配信するため、包括的な広告効果測定ができるというメリットがあり市場も急成長中だ。オンライン広告の 業界地図として広く知られる「カオスマップ」にも「Ad servers」というカテゴリーで明確にポジショニングされている。
しかし、日本では一向に普及していない。なぜか。ネットメディア最大手のヤフーが第三者配信を受け入れていなかったことが大きな要因として挙げられるだろう。
「2012年10月に段階的ではあるものの、第三者配信の受け入れを発表したことから、市場は加速的に広がることが予想されます。広告効果測定システム『アドエビス』を提供する弊社が、第三者配信アドサーバ機能『ViewThruエビス』のリリースを決めたのも、それがきっかけですね」(岩田社長)
日本における第三者配信の市場は、まだまだ黎明期といえる。しかし10月にヤフーが第三者配信の受入を発表して以降、既にその市場を担うプレイヤーが生まれはじめた。ロックオンのサービスは、どこに優位性があるのか。
本来の意味での“入口”から“出口”までを一気通貫で把握
まず挙げられるのが、包括的なアトリビューション分析が行えるという点だ。アドエビスには、その分析対象ごとに「ADエビス」「LPOエビス」「LOGエ ビス」「SEOエビス」「TAGエビス」といったサービス群がある。これらを効果的に活用することで、複数のDSP、リスティング広告、SEO、アフィリ エイト、メールマガジンといった様々なWebマーケティングのアトリビューションを包括的に分析できるメリットがあった。
「第三者配信アドサーバ機能は、アドエビスの新機能「ViewThruエビス」として提供されます。当然、他サービス群と組み合わせて利用できるため、単なる ビュースルーコンバージョンだけでなく、SEM、CRMを含めた一貫した広告効果測定環境を手にいれることができます」(岩田社長)
これまではクリックを「入口」、コンバージョンを「出口」と定義し計測・分析することで、PDCAサイクルを素早くことに主眼が置かれる傾向にあった。一方、包括的かつ多面的に効果測定を行うことができるようになった「アドエビス」では、本来の意味での入口から出口までのユーザーの動きを一気通貫で計測・ 分析ができるようになったことに価値を置く。
「我が社のサービス群は、機能をただ並べただけではありません。流入したお客さまの“すべて”の動きを把握するためのものです。これからは、素早いPDCAサイクルに加え、深い分析が求められる時代になると思います」(岩田社長)
ディスプレイ広告のビュースルーデータ、99.9%の情報を可視化
同社の調べによると、クリックベースの評価では、広告の全接触データの0.1%しか対象にできないという。従来の評価では、バナー広告がどんなに表示されても、クリックされなければ「効果なし」と判断せざるを得なかった。しかし検索経由で購入したものの、過去にバナーを表示させていたことがコンバージョンに寄与している可能性もある。
ディスプレイ広告の「見えない効果」のついては、可視化していくトレンドにはあるが、まだまだ根付いていない。
「根付かない原因としては、「ツール利用料が高い」「データ複雑でわかりにくい」などがあると思います。どの企業でもビューの評価できるようにし、ディスプレイ広告本来の効果を可視化させ、根付かせていきたいというのが我々の考えです」(岩田社長)
そのように、多くの企業でビュー評価が可能になれば、誰でも、ディスプレイ広告を見たあとに成果に至った「ビュースルーコンバージョン数」や、広告を見たあと自然検索等を経て成果に至った「間接ビュースルーコン バージョン数」なども把握でき、ユーザーの態度変容から見た、クリエイティブや媒体を最適化することもできるというわけだ。
ニーズに応じ、Webマーケティングデータをよりシンプルに、より安く
従来の純広告であれば一定期間中、広告バナーを出し続け、その後に結果を集計→改善という流れでよかった。例えば2週間~1か月に1回という流れだ。
今はDSPの出稿なども定着し、リアルタイムなチューニングも可能なったため、統合的に集計が可能な効果測定もそのスピードについていく必要がある。効果測定が運用系メディアのPDCAサイクルと遅くするようなことがあっては本末転倒なのだ。
「ビューに関わる成果も含め、リアルタイム集計は当然のことだと思います。だからこれまでのアドエビスの+αという形でビューデータも網羅することにしました。重要なのは、大量のビューデータをどのように評価するかです。まだまだビューデータの評価方法は確立されていないと感じています」(岩田社長)
そこで、分析まで手が回らない企業には、ロックオンが運営する広告 最適化テクノロジーの研究機関「マーケティングメトリックス研究所」によるレポートサービスも用意した。多くの大手企業で分析事例があるという。
「弊社の行うセミナーのうち、ビュースル―データの計測・活用をテーマにしたものは、すぐに満席になります。さらに『データをどう活かすか』に多くの企業は頭を抱えており、レポーティングサービスの引き合いもこれまで多くありました。今回のサービスインで、やっとご期待に添えるようになります」(岩田社長)
また、もう一つの強みとして挙げられるのが、価格だ。
「DSP運用によってディスプレイ広告が身近になったため包括的にデータを管理できる第三者配信が必要になる。しかし価格が障壁になってしまっては、一部の企業でしか導入できなくなってしまいます。利用しやすい価格にすることで一貫したデータを基に最適化を行う環境を考えています」(岩田社長)
もともと同社 では、アドエビスの価格設定方針として、「広告出稿額の2%以内」を目安にしていた。限られた宣伝・販促費用は、出稿やユーザー分析など本来の目的で使われるべきと考えているからだ。さすがに測定対象領域を富士山並みにすることで2%には収まりづらくなったが、それでも5%未満を目標に設定した。同社の調べによると、現段階で業界最安値だという。
現在の企業には、分析に足る十分なデータがない。もしくは複数のシステムに分散して存在するケースも多い。従ってマーケティング担当者は、施策の個別最適はできても、ユーザーの行動を一気通貫で把握し、全体最適を実現する施策を実行することはできなかった。
しかし、時代は変わろうとしている。
ビューからコンバージョンまでのユーザーの行動データを「溜め」「分析し」「使う」ことでの最適化が望まれている。本インタビューを通し、「いかに溜めて」「いかに活かすか」という点を第三者配信アドサーバ「ViewThruエビス」の登場により、本来の意味でのマーケティング最適化が実現できる時代が訪れようとしていることを確かに感じた。
- ViewThruエビス紹介ページ
- ViewThruお披露目セミナー(2月7日 福岡 2月8日 大阪 2月15日 東京)