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EC・通販最前線

スタイライフが楽天の完全子会社化
シナジー発揮し群雄割拠のファッションEC市場を制す


 ファッション通販サイト「Stylife」を運営するスタイライフは現在、ネット通販業界の大きな注目を集めている。昨年5月、楽天がスタイライフの発行済み株式の32.5%を取得し筆頭株主に異動。その楽天はスタイライフの全株式取得を目指してTOB(株式公開買い付け)を実施、スタイライフは楽天の完全子会社となることが決まった。NTTドコモによるマガシークのTOBなど、ファッションECを巡って慌ただしさが増した13年のファッションEC業界。ファッション分野の強化を狙う楽天の買収で、スタイライフはどんな成長への青写真を描くのか――。

買収は楽天のファッション分野強化、「1+1を3以上の効果に」 

スタイライフ株式会社 松山奨氏
スタイライフ株式会社 副社長
松山奨 氏

 「買収の狙いはファッション分野の強化。楽天がスタイライフを買収することで、1+1が3以上の効果を出せる」。12年11月、筆頭株主の楽天からスタイライフに送りこまれ、現在は副社長として経営の舵取りを担う松山奨氏はこう力説する。大手百貨店から楽天に転身、ECコンサルタントとして楽天市場のすべてのジャンルを担当した。スタイライフ副社長に就任する前は、約450人のECコンサルタントを統括する楽天市場事業付の部長の一人として辣腕を振るった実力者だ。

 松山副社長は「楽天市場は日本のEC市場の28.8%シェアを獲得している。買収で楽天市場のトラフィックをスタイライフに送り込むことが可能になる。1+1が2になるのがM&Aの一般的な方程式。1+1が3以上の効果を出せるようにするのが今回のスタイライフ買収の大きな趣旨だ」と説明する。得る果実を「3」以上にする方策とは何か。

 楽天が海外で運営しているECプラットフォームを使い、スタイライフが取り扱うドメスティック・ブランド(国内ブランド)を海外展開することが、戦略として挙げられる大きな方針。海外へのブランド展開を望むブランドも多く、「(スタイライフの取引先である)ブランドからも海外展開を、今回の買収で一番求められている」(松山副社長)。

雑誌通販手掛けるも現在はECに特化、顧客数は150万人超

 ここで、楽天がM&Aの相手先として選んだスタイライフの沿革を見てみたい。設立は00年。インターネットのほか、自社で制作・発行していた通販雑誌「Look!s」の掲載商品を販売する通販ビジネスを展開し、事業を拡大。06年には大阪証券所ヘラクレス市場に株式を上場した。

 その後は「Look!s」増刊号として新たな通販雑誌「大人Look!s」を発刊。09年にはKDDI、沖縄セルラー電話と協業し、au利用者向けの通販サイト「au one Brand Garden(現au Brand Garden)」を展開している。その間、化粧品商品の通販を手掛けるハイマックス等を連結子会社化するなど、ファッション以外の分野にも事業を拡大。しかし、現在はハイマックスを売却するなど、本業のファッションECに経営資源を集中させている。

 顧客会員数は10年に100万人を突破、今年1月には150万人を超えている。中心顧客は20代後半から30代の女性。事業スタートから十数年以上経過しているため、30代後半から40代の女性も多い。「楽天市場の主要な顧客層とも相乗効果を図れるだろう」(同)。

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この記事の著者

TAMA(タマ)

 流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/21 21:19 https://markezine.jp/article/detail/17379

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