データフィード構築上の注意点
ところで、多くの場合、商品データベースはマーケティングなどで外部利用することを想定して設計されていません。つまり、そのままではデータフィードで使うことはできないこともあります。そんな場合は、データを抽出、整形、変換するなど中間処理を行い、データを正規化します。
また、中間処理をかけても解決できないケースもあります。つまりデータフィード自体を想定した形でデータベースの活用ができず、データフィードの利点を活かせないのです。今後の理想としては、予めマーケティングでのデータ活用を想定した商品データベースの設計をしておくことが肝心でしょう。
(1)Googleショッピングなど、すでにあるデータフィードの仕様を商品データベースのデータ構造の参考にする
(2)商品情報は属性を細かく指定したほうが有用性は高い
(3)データを外部出力しやすいシステムにしておく
そして先にも少し触れましたが、データベースを構築やデータフィードの出力については大きな組織になるほどIT関連の部門の協力が必要になります。その理由としては、IT関連部門が商品データベースのシステムを管理するケースが多いからです。
実際にこの部門の協力を得られないために、データフィードのプロジェクトがうまくいかないことが多い実状があります。広告・マーケティング担当者は、IT関連部門に対して、データフィードを利用するにあたり、その内容、目的、ゴール、メリット、リスクなどをきちんと説明し、サポートをしてもらうことが必須です。
ECサイトに不動産、人材などデータフィード活用に適した業種
データフィードの活用が適している業種としては、以下が挙げられます。具体的には、ECサイト・モール、不動産、本/音楽/DVD、人材、中古車販売といった業種などです。
(1)商品点数が多い業種
→取り扱う商品点数が多い、バリエーション(色、素材、柄、サイズなど)が多い
(2)商品の情報性が高い業種
→商品のライフサイクルが短い、価格、在庫の変動が激しい
→キャンペーン、セール、特典、特別オファーなどの種類が多く、頻度が高い
また、日本でもデータフィード最適化サービスのプロバイダーも現れてきています。フィードフォースの「DF Plus」、TAGGY/オプトの「Multi Channel Publisher(MCP)」、ビカムの「Become FeedCreator(BFC)」、コマースリンクの「DFOプレミアム/DFOマネージャー」などです。
データフィードの出力さえできれば、あとはこれらのサービスを活用することで、データ回収、データ整形・中間処理、各種マーケティング施策へのデータ配信まで実行することができます。サービスの選定にあたっては、(1)対応マーケティング施策の多さ(2)データ整形・中間処理対応の柔軟性(3)価格の3点を考慮することをお勧めします。
さて、データフィードが必要になってきた背景と、その仕組みについて説明してきましたが、その必然性について理解できましたでしょうか。これからさらにEC化率が高まっていく日本の市場において、データフィードの概念と仕組み、活用方法を理解しておくことは今後ますます重要度が増してくるでしょう。次回の連載は、ATARAの有園さんにアトリビューションについて解説していただきますので、引き続き連載をお楽しみください。
