デジタルにおける統合マーケティング時代の幕開け
日本のマーケターに突きつけられた課題とは
3月6・7日の2日間に渡り、米国 ユタ州 ソルトレイクシティで開催された「Adobe Digital Marketing Summit 2013」。2007年から今年で6回目の参加となる筆者が、Summit全体を通して感じたAdobeのデジタルマーケティング領域における戦略と日本市場導入に対する課題をまとめた。(バックナンバーはこちら)
二大課題の解決に向けたAdobeの戦略
今年は27か国から5,000人以上の参加者が集った「Adobe Digital Marketing Summit 2013」。初日の基調講演で、デジタルマーケティングユニット担当のブラッド・レンチャー上級副社長は、今回発表するデジタルマーケティング製品群のアップグレードにより解決されるべき課題として「技術的課題」と「組織的課題」をあげた。この2つが、今回のSummitのキーワードとなっている。
技術的課題
Adobeは今回、27ものデジタルマーケティング製品を5つの製品カテゴリに統合した。ここで注目すべき点は、単純にブランド視点で製品をグループ化したのではなく、本当の意味での製品の統合を実現させたということだ。端的に言えば、シングルサインオンで5つ全ての製品にアクセスでき、製品間のデータはバックエンドで連携されている、ということだ。
・Adobe Analytics(アクセス解析)
・Adobe Experience Manager(CMS)
・Adobe Target(テスト・ターゲティング)
・Adobe Social(ソーシャル)
・Adobe Media Optimizer(広告入札)
過去にAdobeが買収してきたデジタルマーケティング・ツールは独自の機能を持っていたと同時に、重複している機能も多かった。また個別に導入する際にはコスト面での負担も大きく、重複機能とコストメリットを考慮した上でユーザーは導入対象を絞り込む必要があった。そしてツール間のデータ連携は、概念的にはできるとされていたが、実際の現場ではバックエンドでかなり技術的なリソースを割く必要があり、顧客側の負担も大きかった。
今回の統合により、不要な重複機能を排除し、ツールの良い部分をピックアップし、スリムにパッケージ化した製品を、製品カテゴリ単位で契約することが可能となった。つまり、製品は機能的にも、コストパフォーマンスの面においても最適化された。これだけみても、Adobeのデジタルマーケティングに対する本気度を感じる。
組織的課題
今回、製品を統合するにあたり新しい付加価値として作り込まれたのが、ワークフローの機能だ。これが、2つ目に挙げられた組織的課題、すなわち組織間にはだかるコミュニケーションの壁を解決するとAdobeは提言している。
このワークフロー機能は、メールに代わり社内のソーシャルコミュニケーションツールとして注目を集めるSalesforce社の「Chatter」のコメント機能、視覚的に情報を整理できるPinterestのボード機能やドラッグ&ドロップの容易な操作性、時系列に情報が流れて行くFacebookのニュースフィードなどの優れた点を取り入れたという印象を受けた。
Adobeは長年、デジタルマーケティングにおける組織の壁の課題を指摘し、データによる意思決定を社内で推進していくための組織・仕組み化(ガバナンス)の概念を推奨してきた。デジタルマーケティングの担当者たちは、エグゼクティブから、制作・広告・IT部門と使われる言語や、判断基準が異なる部門間の軋轢のなかで、データに基づく意思決定という新しい社内文化を根付かせるために、大量のレポート(多くはエクセル)を作成し、社内で情報を一元化させるなど多くの苦労を強いられてきたからだ。現場担当者たちの負荷を減らすには、レポートの自動化や社内の会議体の制定、イントラネットの整備といった組織・仕組み化が必要不可欠だった。
それが、クリエイティブ素材の管理から制作、データ分析、最適化を実行するワークフローまで、デジタルマーケティング活動に必要な全ての要素を1か所に“キュレート”、すなわち集約し、整理し、新しい視点を加え、必要な社内・外の担当者と共有することを、Adobe Marketing Cloudの新しいUIは可能にした。
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大山 忍(オオヤマ シノブ)
米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...
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