楽天経済圏におけるウェブ解析ガバナンス戦略
そして、鈴木氏は楽天のウェブ解析に関するグループの取り組みについて話し始めた。
「約40のビジネスユニットで構成される国内の楽天グループのウェブサイトでは、1日に約30億ページビューが発生している。約1万人いる従業員のうち、3,800ものSiteCatalystのログインアカウントが発行され、毎日約900人のユーザーがログインし、7,800のSiteCatalystレポートが毎日社内で使われている」(鈴木氏)
これだけ大規模な組織ではあるが、現場レベルにおけるウェブ解析の活用をわずか20名弱のウェブァナリティクスグループが推進させるそうだ。それが実現できているポイントは、Empowerment(権限委譲)とExpertise(専門知識)にあるという。
楽天社内では、『Digital Analytics Revolution(デジタル分析革命)の3ステップ』と称して、ビジネスユニット毎のビジネス成熟度とウェブ解析の理解・活用レベルによって3段階のグループに分けているという。これらのグループ毎に、サポートレベルを変えているというわけだ。

1.Essentials(基本レベル): Adobe SiteCatalystを活用した基本的な分析をマスターする
2.Optimization(最適化レベル): Adobe Test&Targetを活用した、A/B・多変量分析の実施、サイトの最適化をマスターする
3.Advanced(上級レベル): Adobe Discoverを活用した、上級レベルの分析をマスターする

また、社内トレーニングとして、Rakuten Digital Analytics boot camp(楽天デジタル分析ブートキャンプ)の取り組みが紹介された。これは、ウェブ解析ガバナンスの提唱者であるAdobeのBrent Dykesの近著『Web Analytics Action Hero』になぞらえ、各ビジネスユニットの代表者にウェブ解析のトレーニングを受けさせ、Web Analytics Action Heroes(ウェブ解析データに基づき、最適化アクションをおこすリーダー達)を生み出す取り組みだという。
ビジネスユニット毎の人材をトレーニングする事のメリットとして、これらの人材は担当ビジネスの理解があるため、ウェブ解析実行準備に重要なビジネス要件をきちんと明確化することができ、データの分析から最適化のアクション実行までを現場レベルで遂行させることができる。