回帰分析で相関関係を考えてみよう
この調査で分析のために使った手法は、回帰分析になります。(回帰分析について詳しく知りたい方は、こちらの連載「Excelビジネス統計~アンケートの設計と分析」が役立つかと思います)簡単にいうと、テレビCMの投下量をX軸にとり、検索数をY軸にとって、下図のような散布図を作ります。その散布図の中に最小二乗法(least squares method)という方法で、統計的に当てはまりのよい直線を引いていきます。直線なので、y = ax+b という1次関数で表現することができるようになります。この式の中で、yを目的変数、あるいは、従属変数と呼び、xを説明変数、あるいは、独立変数と呼びます。

この直線が右肩上がりであれば正の相関がある、右肩下がりであれば負の相関があるといいます。正の相関がある場合は、テレビCMの投下量が増えれば増えるほど、検索数が増えることになります。負の相関がある場合は、テレビCMの投下量が増えれば増えるほど、検索数が減ることになります。
テレビCM投下で増加した検索数は、どの程度売上に貢献するのか?
このような相関分析の結果を広告主に報告すると、その反応は非常に好意的なものでした。その後、「テレビCMを打つとそれに関連するキーワードの検索数が増えて、結果的に、広告主のウェブサイトへのアクセス数が増える」ということが業界的にも理解されるようになりました。そして、検索ボックスをテレビCMに付与する手法が一気に普及していきました。

ただ、しばらくすると、テレビCM投下量と検索数が相関するのはよいのだが、その結果として、コンバージョン数はどのくらい増加するのか、あるいは、売上はどのくらい増加するのか、という質問を広告主から受けるようになってきました。
このような課題に応えるため、広告主や広告代理店の協力を得て、コンバージョン数や売上のデータ、ウェブサイトのアクセス状況のデータ、および、広告出稿量のデータなどを提供してもらって調査し、広告出稿がコンバージョンや売上に与える貢献度を調査するようになってきたのです。