手順4:仮説を立てて検証してみる~ヒストグラムが割れたのはなぜか~
ここでは、グラフ化したパターン3を例に挙げて、掘り下げて行きましょう。「なぜ、ヒストグラムが割れていたか」について考えてみます。
ヒストグラムが割れるということは、もしかすると、異なる母集団がそのグラフに含まれているのかもしれません。例えば、男女、新規ユーザーとリピーターなどです。再度、複数の数値と比較したり、掘り下げたりして、原因を仮説ベースで探していきましょう。
仮説「男女別で購入単価が違う?」
会員登録時に性別を入れる欄があったので、そのデータを利用し、「男女別で購入単価が違うのでは?」という仮説からヒストグラムを作成してみました。

こうすることによって、価格帯のヒストグラムの2つの山は、男女の違いということがわかりました。
女性の購入単価が下がった理由を考える
ではなぜ、女性側のみ下がってしまったのでしょうか。この前後に行った施策の中で、女性が不利になるような施策をリリースしたかを確認したり、女性の購入している商品に絞って、商品購入前のステップの数値について調査します。また、商品詳細画面のPVや遷移元の数値に変化がないかも調べます。
その結果、先月は女性が頻繁に購入している商品の詳細画面はトップページから結構な数の遷移があり、当月においては、その遷移が減少していたことがわかったとします。ここで、トップページから詳細画面へ遷移するモジュールは何かを確認すると、トップページのおすすめ商品が男性のものばかりで、女性のものが掲載されなくなっていたことがわかりました。

そこで考えられるのは、「男女で求めるものが異なるならば、男女でおすすめ商品のラインナップを変えてみよう」という施策です。また、女性の方が購入単価が高いことがわかったので、今まで1ユーザーの平均単価として男女一括りにしていたものを、男女で分けて考えようという発想が生まれます。
分析の結果、考えられる3つの施策
パターン3の例から、数値を読み解いた結果得られる施策としては、
- 男女でおすすめ商品に掲載する内容を変える
- 男性は平均購入単価に近い、3,000円前後の商品を掲載する
- 女性は平均購入単価に近い、8,000円前後の商品を掲載する
となります。施策がリリースされてから、再度同様の調査を行い、売上が予想通りに戻っているか、しっかり効果検証を行いましょう。PDCAサイクルを適切にまわすためにも、このようにデータを見て改善していくことが大切になります。
まとめ
今回は、大雑把な数値から細かい数値にフォーカスをずらしていき、さまざまな仮説を検証し、原因を突き詰め、改善していく過程を、ECサイトを例に紹介しました。アナリストの仕事がどんなものか、なんとなくわかってきたでしょうか?
次回はPVの見方、改善の方法について、紹介していきたいと思います。お楽しみに。
似顔絵イラスト:napocon