古くて新しいブランド「コカ・コーラ」
――「コカ・コーラ」はだれもが知っているブランドですが、最初に「コカ・コーラ」とはどういうブランドなのか、あらためてお聞きしたいと思います。
一言でいうと、「人々にハピネスを届けるブランドでありたい」と考えています。結婚や子供の誕生といった人生の節目となるハピネスもありますが、毎日の生活の中で感じる小さなハピネスもある。コカ・コーラは、毎日の生活の中でのちょっとした幸せや笑顔を提供するブランドでありたいと思っています。
コカ・コーラは1886年に米国アトランタで設立され、今年で127年。日本でも1957年に製造事業を開始し、今年で56年となります。その一方で、常に新しいことにチャレンジし続けてきた。「コカ・コーラ」と聞いて誰もが知っていて、なんらかのイメージを持っているけれど、それが決して古臭いものになってはいけないと考えています。
――「古くて、新しい」というのは、簡単なようで難しいことですよね。
時代が変わってもコカ・コーラの味は変わっていません。そして「ハピネス」というのは普遍的なテーマです。王道、直球でありながらも古くならないというところが、このブランドの魅力でもあるのかなと思っています。
――グローバル企業であるコカ・コーラのビジネスは、今どのような広がりを見せているのでしょうか。
コカ・コーラは全世界200以上の国・地域でビジネスを展開しています。これは国連加盟国(193か国)よりも多いのです。我々がやっているのは基本的にはフランチャイズビジネス。どの国においても進出した地域の有力資本と組んで「ボトラー社」、すなわちボトリング(瓶詰め)して製造し、お客様に届けるビジネスを提供する会社とパートナーシップを組みます。地域の有力資本というのは、日本では地元の企業や商社、メーカーなのですが、彼らは日本の事情をよく知っている。それによって地域に密着した営業もできますし、雇用も生むことができる。そういったかたちで地域に根差したビジネスを各国で展開している。したがって、グローバルでありながらローカルな企業と言えるでしょう。
時代とともに進化する統合型マーケティングフレームワーク「IMC」
――マーケティングの先進企業であるコカ・コーラは、マーケティングフレームワーク「IMC(Integrated Marketing Communication)」を推進していることでもよく知られています。
IMCは日本での導入後も進化をつづけて来ています。とりわけ最近では、「ブランドがファンを作る」という発想から「ファンがファンを作る」という考えに変わり、消費者の間で会話を生み出すようなストーリーを企業が語っていく。語られるためには「ダイナミックなストーリー」が重要だという話ですね。
――時代とともに進化しているのですね。
そもそも統合型マーケティングに舵をきった時点で、テレビCMを打てば当たるというような時代ではなくなっていました。クリエイティブをつくってテレビでマスに見せるところから、実際に店頭に行って棚で商品を選ぶときに目にする店頭メディアまで含めて横串に刺して、消費者がどういうメッセージをどういうところで受け取るかを考えるのが、IMCの考え方だと理解しています。