日本人の「クリエイティブ・コンフィデンス」を取り戻したい
カオスパイロットにほど近いカフェで、大本さんに現在の心境などを質問してみました。

佐藤:「1年経ってみて、どうですか?」
大本:「すごく満足。幸福です。本当に来て良かったと思います」
佐藤:「それは素晴らしい。どんなところが、そんなに良いのでしょうか」
大本:「日本にいる時は、社名とか肩書に縛られていた気がします。でも、ここでは、年齢も肩書も、そんなことは誰も何も聞きません」
佐藤:「カオスパイロットの授業は、どのような感じでしょうか」
大本:「ワークショップが中心で、対話が重視されています。ポジティブなこともネガティブなこともフィードバックされるのが、とても勉強になります。そんな中で、私は、生涯かけてやりたいことが、なんとなくではありますが、見つかった気がしています」
佐藤:「ほほー。それは、どんなことですか?」
大本:「日本人の“クリエイティブ・コンフィデンス”を取り戻す、ということです」
佐藤:「クリエイティブ・コンフィデンスを、もう少しかみ砕いて説明してくれますか」
大本:「そうですね。それは自分に正直であること。人の目を気にせずに、思ったことを主張できるコンフィデンス(自信)といったものです」
佐藤:「具体的にはどのように行動していくのですか」
大本:「まずは再来年2015年6月に卒業して帰国したら、カオスパイロットで学んだ手法などを使って、自分のクリエイティビティが徐々に開花していく体験ができるワークショップを日本で始めたいです」
佐藤:「いいですね。僕も、講師とか運営で参加したいな」
大本:「ぜひぜひ。真面目な話、一緒にやってくれる人は探しているので、興味を持ってくださる方がいれば、紹介していただきたいです」
新たなイノベーションを生みだすために不可欠なデザイン思考
驚くほどの行動力を示して、普通の人では物怖じしそうなことにチャレンジしているのに、まったく気負いというものが感じられない大本さん。インタビューにも、少しハニかんだ表情を浮かべながらも、キラキラと、本当に嬉しそうに答えてくれました。
今、ビジネスの世界でも注目を集める「デザイン思考」について、3回にわたって連載をお届けしてきました。日本のビジネスには、旧来のいわゆる“ものづくり”ではなく、さまざまな意味でのイノベーションが必要不可欠だと、筆者は考えています。そんな日本のイノベーションのために、「デザイン思考」は重要な役割を担ってくれることでしょう。