モバイルにおけるAdTruthの可能性
PCからモバイルへ。消費者の利用するデバイスは、いまスマートフォンやタブレットなど、持ち運べるスマートデバイスへ移行しつつある。なかでもスマートフォンは、消費者に一番近いデバイスであり、そこで消費されるコンテンツやコミュニケーションが生み出すトラフィックは増加の一途をたどっている。しかし、ネット広告費が新聞や雑誌を追い抜いたと騒がれるなか、意外なほどモバイル広告費は伸びていない。

ここで鳥井氏は、米国モバイル市場の調査データを示した。eMarketerの調査によると、2012年の米国モバイル市場は1年間で2080億円の成長、対前年(2011年)比80%の伸びを見せたが、モバイル広告向けのeCPMは、PC向け広告の1/5から1/10といまだ大きな差がある。
これにはひとつの理由がある。携帯電話やスマートフォンには、出荷時に端末固有ID(UDID:Unique Device Identifier)が振られているが、このIDも個人情報、あるいはそれに準ずるものとみなされ、その取り扱いにはユーザーの同意を求める動きが国内外で広がっている。Mobile Marketing Associationの調査によると、48%のマーケターがモバイル広告の最も重要な懸念事項は「デバイス推定と効果測定」と回答。iPhoneではiOS 5からデフォルトでCookieが無効になっている場合もあり、デバイス推定問題をさらに大きなものにしている。しかし、AdTruthはこの課題を解決する大きな解決策となりうる。
さらに、AdTruthはこれまで不可能だったことを可能にする力を秘めている。たとえば、Androidでは、同じデバイス上のブラウザとアプリに違うIDが付与されるという課題があるが、AdTruthでは同じIDを付与することができる。これによって、ブラウザとアプリ、あるいはアプリとアプリの連携において、データの共有などが可能になる。この特長を活かし、A社ではリターゲティング広告配信を実現させ、B社ではブラウザからアプリへのダウンロードトラッキングをリリースしている。この点は、ネット広告関係者だけではなく、ゲームアプリを開発している企業にとっても魅力的であり、今後AdTruthを利用して新たなサービスが生まれる可能性もあるだろう。
Cookie Syncのわずらわしさと懸念
複数のアドテクツールが連携する際、Cookie Sync(Cookieの同期)はどうしても必要になる作業。そのハードルが存在するがゆえに調整と接続に時間を要してしまった、という経験をお持ちの方も多いだろう。
また近頃、DSP事業者が、より効果的な広告配信を実現するために、DMPと連携させたRTB配信サービスを展開する動きが強まっている。ただこの場合、双方のCookieをSyncさせる必要があるため、場合によってはDMPに蓄積した貴重なオーディエンスデータがDSP側にも垣間見えてしまう可能性がある。
AdTruthは、どのアドテクツール、どのウェブサイトにおいてもデバイスに対して同一のIDを生成することができるため、Cookie Syncの手間を省けるだけではなく、DMPとDSPの接続に関する懸念も払拭できるというメリットもある。
アドテック東京で講演決定
41st Parameterは、9月18日・19日に開催される「アドテック東京2013」に出展するYahoo! JAPANのブースで講演を行う予定(9月18日13:15~13:35、9月19日15:55~16:15)。AdTruthについてさらに知りたい人は、会場を訪れて担当者に直接話を聞くことができる。